最近の研究成果 (1)

1-1. SLC7A11による神経膠芽腫細胞のグルコース依存性の制御

ヒトの脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い神経膠芽腫(グリオブラストーマ)の細胞は、正常なアストロサイトに比べてグルコースに対する依存度が高く、グルコース非存在下では速やかに細胞死を引き起こすことが知られています。この神経膠芽腫のグルコース欠乏時における細胞死が、SLC7A11によるシスチンの取り込みが引き金となっていることを新たに見い出し、SLC7A11を高発現している膠芽腫細胞がグルコースが無い状態でシスチンを取り込むと、細胞内のNADPHの急速な枯渇、及び活性酸素種(ROS)の蓄積が起こり、最終的に細胞死が起こることを報告しました (Goji et al., 2017)。

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1-2. 細胞密度によるSLC7A11の発現とグルコース依存性の制御

神経膠芽腫細胞が高密度で存在すると、mTORの活性低下に伴いリソソームでのSLC7A11の分解が促進されることを見い出しました。さらに、このような SLC7A11のタンパク質レベルでの制御が、グルコース欠乏条件下での膠芽腫細胞の生存に関わっていることも明らかにしました (Yamaguchi et al., 2020)。一方、高密度の神経膠芽腫細胞において、NF2/Merlinを介した転写レベルでのSLC7A11発現制御機構の存在が明らかになりました (Yamaguchi et al., 2023)。

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