ORGEL Column

2025年2月8日

【コラム】旧姓使用と新しい名前

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担当:おかゆ
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 もうすぐ結婚して二年が経とうとしている。そして、結婚するまでも、そして今も、「はよ選択的夫婦別姓にならんかな」とずっと考えている。自分の苗字を変えたくない気持ち&多忙を極める夫に改姓の手続きに行かせる申し訳なさ&いっそ事実婚にするか?いやでも自分が無収入のため婚姻したほうが扶養控除があるし……ということを天秤にかけた結果、結婚する大半の女たちと同様、自分が苗字を変更する道を選んだ。法改正への希望を込めて、改姓手続きは最小限しかしていない。パスポートの期限が2026年に切れてしまうので、なんとしてもそれまでに法改正していただきたい。

 そして、改姓を機に、手続き以外の苦痛も味わわざるをえなかった。なんだか、たくさんの人が、やたら嬉しそうに新しい苗字でこちらを呼ぶのである。久方ぶりに会った兄、署名のために戸籍名を聞いてきた知り合いのお姉さん、歯医者の受付の人……。そのたびに、親密な相手にたいしては「いや、役所と病院以外では●●(旧姓)で名乗るから」と拒絶し、通りすがりの人には曖昧な笑みと会釈を返してきた。とはいえ、拒絶したところで相手からの扱いはそうそう簡単には変えられず、兄からは新しい苗字で(兄の)結婚式の招待状が届いた(兄の結婚式では、親族紹介のときに父が私より先に私の夫を紹介しようとして言葉に詰まるという、これまた不愉快な件が起きた。どう考えても、妹の私を紹介してからその夫を紹介するほうがスムーズであろう。結婚というのは、かくも家父長制と結びついていると実感したが、苗字の話から逸れてしまうのでこのあたりで止めておこう)。また、母が私宛に新しい苗字で荷物を送ってきたときには、自分でもびっくりするほど気分が落ち込んでしまった。母には直ぐに、宛名は●●(旧姓)にしてほしいと頼んだ。軽い返事が返ってきたが、そもそも家が割と近く滅多に荷物を郵送する事態にはならないため、理解してもらえたのかどうかはよく分からない。

 しかし私が理解できないというだけで、世の中には「大好きな彼と同じ苗字になりたい」という欲望が存在することは重々承知している。はるか昔、小学生女児だったころから、「ねえ誰が好きなの?」と意中の相手の名前を聞き出しては、相手の苗字と自分の名前をくっつけて「●●▲▲さんだって」と、はしゃぐノリは存在したのだ(今思えば、たいそう異性愛主義である。いや、世の中がそうなのだから子どもの遊びだってそうなるだろう)。具体的な交際など考えておらず、一足飛びに結婚を夢想する子どもだからこそ、苗字を変えるという分かりやすさが妄想の取っ掛かりになるというのはあるかもしれないが、女側が苗字を変えるのだという前提が女児にまで浸透しているというのは事実だろう。友人・知人の結婚が相次ぐ年齢になってきたが、男性が苗字を変えるカップルの数は、私の知る限り片手で収まってしまう。

一緒の苗字にしたいカップルはそのままで、別姓にしたいカップルの希望も叶えられる日を、そしていつかは、結婚なんかしなくても安心して生きていける社会を望みたい。