お知らせ

2024年3月29日

  • 刊行

『恒藤記念室叢書10』 が発刊されました

大学史資料室は恒藤記念室と協同で、本学が所蔵する恒藤恭関係資料の翻刻と研究発表の場として、『恒藤記念室叢書』を刊行しています。

「恒藤記念室叢書10」 (2024年2月29日発行)/恒藤恭「講演等レジュメ」(1952・1953年)

〈〈 目次 〉〉

まえがき                    ……………… 山東  功
解説 1950年代の恒藤恭の時代認識の発展について……………… 広川 禎秀  
講演等レジュメ  (1952・1953年)

 2015年度の叢書6から始まった恒藤の1941年以降の日記と講演等レジュメの刊行は、今年度、第10集『恒藤恭「講演等レジュメ(19521953年)」』として出版された。この時期は、1952年4月には、前年9月に調印されたサンフランシスコ講和条約が発効し、戦後日本の大きな枠組みが成立した時期である。本叢書「解説」は、叢書6から連続して今回で5回目になる広川禎秀本学名誉教授の執筆であるが、そこでは、この「レジュメ」とともに同時期の恒藤の他の著作も併せて分析したうえで、1954年以降にも続く恒藤の研究、思索や実践をとらえ、恒藤の時代認識を論じている。また、恒藤の講演のテーマは、政治的・社会的なものだけではない。例えば、「ローカル放送局ノ必要性ニツイテ」では、放送の公共性やジャーナリズム論が展開され、「三商大野球マッチあいさつ」や「文化祭の感想」では、恒藤のアマチュアスポーツ観、アマチュア芸能観が表れている。当時6465歳の恒藤が、大阪市立大学の学長として、また関西を代表する知識人として、多様な要請に応えて語る姿が浮かび上がる。                              (恒藤記念室研究員 中村奈々)