大阪公立大学人権宣言

大阪公立大学は、歴史に学び、伝統を引き継いで、誰でも、どこでも、そしていつでも人権を享受すべきであることを宣言する。大阪公立大学人権宣言は、人権問題委員会で承認された草案に対し、意見募集に応じて寄せられた意見を参考に修正を経て完成した。新たな課題に直面しても、すべての人が人権を等しく尊重されるよう、大阪公立大学は、研究・教育の場を用意し、また、対話や議論に対して開かれている。

大阪公立大学人権宣言

(2024年4月17日 教育研究審議会承認)

前文
 人は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とにおいて平等である。戦争の惨禍への反省に立ち、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と、平等で譲ることのできない権利を歴史において初めて記した世界人権宣言以来、私たち一人ひとりが人権及び基本的自由の尊重を基礎として、すべての人々とともに歩むことが求められている。しかしながら、人権及び基本的自由の侵害は今なお厳然と存在する。
 大阪公立大学は、2022 年、大阪市立大学と大阪府立大学の統合により、新たに発足した。大阪市立大学の前身となる大阪商科大学では、戦時下において、学内での反戦を掲げた教員・学生による研究会が弾圧を受けた。多くの学徒が動員され、犠牲となった戦没者のための慰霊碑が2002 年に学内に建立された。くわえて1960 年代以降の部落出身者、在日コリアンをはじめとするマイノリティに対する差別の撤廃を求める声に応え、大阪市立大学と大阪府立大学は、人権が抑圧されてきた過去を二度と繰り返さないため、人権問題の解決をめざし、教育・研究機関を設置し、人権教育・研究を推進してきた。そして、大阪市立大学は「大阪市立大学人権宣言2001」を公表し、学問を平和と人権尊重の礎として役立て、新たな人権問題に積極的に取り組むことを前文で謳った。
 人類普遍の真理を探究する使命を持つ大阪公立大学は、「大阪市立大学人権宣言2001」の精神を引き継ぎ、世界人権宣言や国際人権規約をはじめとする国際人権基準を尊重し、かつ日本国憲法と国内の人権法規に従い、教育・研究活動を含むあらゆる分野において、人権及び基本的自由を尊重する大学を実現するために、以下のように宣言する。

第1条 大学の責務
 大阪公立大学は、人権及び基本的自由を尊重する責務を有する。
第2条 学問の自由
 大阪公立大学は、学問の自由を保障する。この自由は、他人の人権及び基本的自由を侵害する権利を承認するものではない。
第3条 差別・暴力・ハラスメントのない大学の実現
 大阪公立大学及びその構成員は、差別を行わず、認めない。ここでいう差別とは、人の社会的身分、門地、人種、民族、国籍、性別、性的指向、性自認、言語、宗教、思想、信条又は障害の種類や程度などを理由とする区別・排除により、権利の享受・行使を妨げる目的又は効果を有するものをいう。
2 大阪公立大学及びその構成員は、教育・研究・労働等の場において、暴力・ハラスメントを行わず、認めない。
3 大阪公立大学は、差別・暴力・ハラスメントの防止に努めるとともに、相談・対応体制を整えることにより、被害回復を実現し、また訴えた者に不利益を与えない。
第4条 多様な存在と文化を尊重する大学の実現
 多様な存在によって構成される大阪公立大学は、教育・研究・運営及び社会貢献のいかなる場面においても、構成員の固有の存在と、文化やルーツの相違を尊重する。
第5条 人権研究の推進
 大阪公立大学は、人権の保護と伸長に資する研究を促進し、人権教育の向上を図るとともに、その成果を広く社会に公開し、人権意識の向上に貢献する。
第6条 人権教育の推進
 人権教育・研修は、人権侵害のない教育・研究・職場環境を確保するために不可欠である。大阪公立大学は、すべての構成員が人権及び基本的自由の理念を理解し、行動できるように、教育課程における人権教育、人権研修を行う。
第7条 人権侵害への対応
 大阪公立大学及びその構成員は、人権侵害を黙認しない。大阪公立大学は、その構成員からの人権及び基本的自由の侵害の申立てに対し、適切かつ迅速な対応をとり、人権救済に取り組む。

参考

大阪公立大学人権宣言の前史や各種相談窓口については下記を参考にしてください。

  • 大阪市立大学人権宣言2001策定経緯

大阪市立大学人権問題委員会のページ(大阪市立大学サイト)

  • 各種相談窓口

公立大学法人大阪 ハラスメント相談窓口

大阪公立大学 学生なんでも相談窓口

大阪公立大学 アクセシビリティセンター