学長メッセージ
大阪公立大学は、2022年4月に大阪市立大学と大阪府立大学が統合して誕生した、12学部・学域、15研究科を擁する日本最大の公立総合大学です。
杉本・中百舌鳥・阿倍野、そして2025年9月に開設される森之宮新キャンパスを中核に、大阪の都市機能を活かしながら、国際水準の研究と教育を通じ地域社会とともに歩む高度学術拠点として、産業・社会の持続的発展に貢献しています。
前身である大阪市立大学と大阪府立大学は、共に明治初期、市民からの負託を得て設立された高等教育機関をその源流としています。爾来、140年余にわたり、国際的な一大産業都市・大阪に根ざし、学問と文化の発展、そして地域経済の振興を支える拠点として歩んできました。また歴代の卒業生や教員、研究者は、国内外のさまざまな分野で活躍し、科学の進歩や社会の発展を支える礎として、常に時代を牽引してきました。
こうした歴史と伝統を礎に統合を果たした大阪公立大学は、長年培われた各学問分野の強みを受け継ぎながら、学際的な融合を促進し、新たな学術領域や知的価値の創造に挑戦しています。2023年度には、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択され、国内有数の高度研究大学として、研究環境のさらなる充実と国際競争力の強化に取り組んでいます。さらに、時代の要請に応えた研究教育システムの高度化と組織ガバナンス改革を推進し、柔軟で持続可能な大学運営を実践しています。
現代社会は、価値観の多様性と複雑さが増す中、テクノロジーの飛躍的な進展によって、かつてない速さで変化を続けています。生成AIに象徴される情報技術の革新は、私たちの暮らしや社会の在り方そのものを根本的に変えつつあります。同時に、国際的な対立や紛争、気候変動や頻発する自然災害など、地球規模の課題はますます深刻さを増しています。このような時代に求められるのは、不確実な状況の中でも主体的に考え抜き、変化に柔軟に対応し課題の本質を見極める力です。高度な専門性を礎に、多様な価値観を理解し、異なる分野や文化を越えて協働できる人材の育成が、これからの大学教育には不可欠です。
その使命のもと、本学は、20年後、30年後の未来を見据えた基礎研究力の強化と国際的な研究ネットワークの拡充、そして実社会に還元するための実践的な基盤づくりを進めています。あわせて、多様性と個性を尊重し、柔軟な発想と行動力を備えた次代を担う人材育成に力を注いでいます。
大阪公立大学は、知と人を育む学術研究拠点として、地域と世界からの信頼に応え、一人ひとりに親しまれ続ける存在として、社会と共に歩み、未来を築いてまいります。
大阪公立大学 学長
櫻木 弘之