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2024年4月1日

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卒業生の声/太田 裕基さん(株式会社コーセー)

※本記事は、大阪府立大学Webマガジン「ミチテイク・プラス」(2021年6月23日公開記事)から転載しています。掲載されている情報は公開当時のものです。

太田裕基さん

PROFILE

太田 裕基(おおた ひろき)

  • 2018年3月 大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 博士前期課程 修了
    (食品素材化学研究グループ)

現在の企業名・職務内容

私は現在、化粧品メーカーである株式会社コーセーの研究所に勤務し、皮膚や細胞の微細構造や化粧品に含まれる成分の観察・評価を行っています。

研究所では基礎化粧品やメイク化粧品の中身を作っている部署や、肌に有用な成分を研究している部署など、多くの部署で役割を分けて研究を行っていますが、私の部署では機器を駆使して、さまざまな分析を行っています。

中でも私は電子顕微鏡と呼ばれる非常に細かいものを観察できる顕微鏡を使って、皮膚や細胞の微細構造や化粧品に含まれる成分の観察・評価をしています。化粧品の品質や研究開発に必要なデータ取得など化学分析の視点から化粧品の価値づくりに貢献しており、やりがいを持って取り組んでいます。

生命機能化学課程で取り組んだこと

生命機能化学課程では、緑茶カテキンが胃に作用し満腹中枢を刺激するホルモン (レプチン)を分泌するかどうかを研究していました。胃の細胞からはレプチンを分泌することが知られており、レプチンは脳に作用して、満腹感や食欲の抑制に働きます。

緑茶を飲むことでレプチンを分泌させ、食欲をコントロールできると考えると、とてもワクワクしませんか!?

しかし、身近な緑茶から満腹感を刺激するためには、生物の知識はもちろん、化学分野や実験などの、さまざまな知識が必要となるため、たくさん勉強をしなければならず大変でした。その分、成果が出て、学会で発表できた時に感じた達成感と嬉しさは何物にも代えがたいものでした。

学生時代の経験で、現在の仕事に生かされていること

化粧品会社の研究職は、化粧品という化学の結晶を人の肌に塗るという、化学と生物どちらの知識も必要となる特殊な仕事だと思っています。

生命機能化学課程では、生命機能を探索する中で生物だけでなく化学の知識もかなり必要となるため、学生の段階で化粧品会社の研究者としての予備知識が身についており、現在の仕事に役立っています。

また、社会人では様々な仕事を同時にこなしていく能力が必要です。生命機能化学の分野は多面的に研究する必要があるため、同時に複数の研究を行っていたことが今の仕事にも活きています。

高校生へのメッセージ

大学には様々なワクワクの種が潜んでいます。授業や部活、サークル、バイト等どこに潜んでいるかは人にもよりますが、必ずあります。

ただ何気なく過ごす大学生活も自ずと充実したものになりますが、私はそのワクワクの種を探してほしいと思っています。その種を見つけることができれば、発芽し、どんどん成長していくでしょう。その育ったワクワクはきっとあなたの人生の指標となり、自分の未来の太い根幹となります。

大阪府立大学ではそのワクワクの種がたくさんあり、その育て方を教えてくれる環境が整っています。後はそこにあなたが飛び込むだけです!実りある大学生活を応援しています。

【寄稿:2021年3月】 ※所属は取材当時。