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2020年8月11日

  • 経済学
  • 卒業生

自分の情熱にまっすぐに、動き続けること! チャンスや出会いは、そこから生まれる/ファッションモデル 順平さん

※本記事は、大阪市立大学Webサイト「ステートメントビジュアル」(2020年8月11日公開記事)から転載しています。掲載されている情報は公開当時のものです。

ファッションモデル

順平さん

順平さんの写真

ミラノコレクションを目指して。自分らしさを磨き続ける

東京、大阪、ニューヨーク、パリ、ミラノ、ロンドンのモデル事務所に所属し、国内・海外でショーや撮影の仕事をしています。直近では、2020年2月にニューヨークコレクションに出てきました。TODD SNYDERというニューヨークのブランドに呼んでいただき、しかも、ファーストルックという最初に登場するモデルをさせていただいて。誰も歩いていないランウェイを自分が最初に歩く気持ちよさは、とても言葉にはできません。海外のショーは見に来ている人もすごい人たちばかりで、世界各国のセレブリティやカメラの数も東京のショーとは比べ物にならないくらい。ランウェイを歩いている間の記憶はないのですが(笑)、これはモデルやめられないなと思いましたね。
僕がモデルになりたいと思ったのは、中学3年くらいの時でした。服が好きで海外のショーの動画を見るようになって、でもいつの間にか服よりもショーで歩いているモデルに興味を持つようになって…。あんなに奇抜な服がすごく自然でカッコよく見える、エンターテインメントとして楽しめるのは、歩いている人たちがすごいんじゃないかと思ったんです。ただ歩いているだけなのにこんなに目を惹きつける!それからですね、自分もランウェイを歩いてみたいと憧れるようになったのは。大学3年の時にプロとしてのキャリアをスタートして今に至るまで、それはもう本当に大変な道のりでしたが、こうしてモデルを仕事にできていることを嬉しく思います。モデルという仕事は、オーディションでの勝ち負けや他人との比較が日常的に続きます。人と同じだと意味がない、それが顕著な世界です。自分の個性を知り、最大限に表現することで価値が生まれる。落ち込むことも多いですが、その度に自分を見つめて強みや反省点を把握し、「自分」を鋭くしていくことがものすごく大切。評価する人の好みにあわせたり、誰かの真似をするんじゃなく、一番自分らしさを発揮できるスタイルを磨き続ける毎日です。

順平さんの写真2

自分の情熱に、まっすぐに。目の前のこと、今できることを、一生懸命やる!

実は僕、モデルになるために2年の時に大学を辞めようとしたんです。周りのみんなは就活を始めて、だけど自分はミラノコレクションに出たいのにまだモデルにすらなっていない…。一体何をやってるんだろう、と。もともとすごく心配性で考えが先行してなかなか行動できないタイプなんですが、この時だけは何も考えず「大学辞めてミラノに行こう。行けば何かが変わる!」と思ったんですよね。それで、1年の時からお世話になっていた松本淳先生に大学を辞める相談をしたら、「順平がそうしたいなら止めはしない。でも、卒業してよかったと思う日は絶対来ると思うし、大学を辞めなくてもできることはあるはずだ」と言われて。その時はその言葉の意味を僕はあまりかみ砕けず、あれこれ考えた結果、やっぱり退学してミラノに行こうと決意。そこでやっと父親にその話を打ち明けたら、生まれて初めて投げ飛ばされました(笑)。ふざけるなと。それはそうですよね、浪人までして大学に行かせてもらってたのに。
それでもう一回考えて、大学に行きながらでもモデルになるための行動はできる、と今できることを全力でやってみることにしたんです。それに、僕にとって大学は楽しい場所でもあったから。ちょうどゼミを探す時期にもなり、松本先生ともうちょっと一緒にいろいろなことを勉強したいなと思って。松本先生のゼミで公財政や地域活性化などを勉強しながら、モデルへの道を拓くため、個人経営の服屋さんや美容師さん、カメラマンさんたちが集まる場所へ手当たり次第に出かけて行っては、「モデルになりたい!」「少しでもいいから自分を使ってほしい!」と想いを伝え続けました。そんな中で出会ったヘアメイクの方に、今の事務所を紹介していただいて。3年の9月、あきらめずひたすら動き続けたことが繋がって、モデルとしてのスタート地点に立つことができました。

順平さんの写真3

「負けの経験」も、いつか自分のプラスになる

動き続けていれば必ずいいことが訪れるとは言えませんが、チャンスや出会いというものは能動的に動き続けている人にしかやってこないと思います。行動する中で出会った人やものが、自分の人生を思いがけない方向に導いてくれたということが何度もありました。4年の卒業目前で一人ミラノのモデル事務所へ飛び込んだ時。十数カ所に二度も三度も売り込みに行ったものの、ひとつも所属事務所が決まらず…。どうしてもあきらめられなくて、ある事務所のボスらしき方に「なぜ不合格なのか」「どうすれば認めてくれるのか?」と食らいついたんです。すると、「今の実績では、あなたがどんなモデルなのかも、稼げるモデルかどうかも判断できない。もっとたくさん仕事をして、写真で証明できるようになってから来なさい」と。悔しさと、卒業後の進路への不安とで、帰りの飛行機で10時間くらい泣き続けたんですが、ミラノに近づくために今やるべきことが見えたのは大きな収穫だったと思います。

帰国後、大阪だけでなく東京での仕事も増やして実績を積もうと考えていたところ、タイミングよく東京のマネージャーさんから「卒業したら東京に来るか」と電話があり、これはもう行くべきだと拠点を東京に移して戦う覚悟を決めました。

上京して受けたオーディションでBrooks Brothersというニューヨークの老舗ブランドが日本で行う大きなショーの仕事が決まり、そこで知り合ったショーのディレクターが「おもしろいモデルがいる!」とTODD SNYDERのデザイナーに紹介してくれて。その時の撮影がきっかけで、「今回のニューヨークコレクションにも」とブランドからご指名をいただくことができました。あの時のミラノでの悔しい経験がなければ、上京する決意も、自分と向き合い自分らしさを磨くことの大切さに気づくこともできていなかったかもしれません。時間もかかったし、上手くいかないことや苦しいことの方がいっぱいあったけど、それが自分を成長させてくれた。自分の情熱に正直に、動き続けたからこそ今の自分がある。そう思うんです。
何度失敗しても、本当に続けたいと思うものはそれだけ情熱があるものだと思うし、もし心が折れてしまったらそこでやめてもいいと思います。失敗はつらいものだけど、その「負けの経験」から学ぶことはすごく多いです。未来のことなんて、誰にもわかりません。だから、周りを気にせず、先を案じすぎたりせず、目の前にあることを自分らしく一生懸命楽しみながら頑張ってほしいなと心から思います。