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2020年1月23日

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人生の豊かさとは、当事者意識を忘れず、人生の主人公として道を切り開いていくこと/日本ビジネスシステムズ株式会社 常勤監査役 児玉 真二さん

※本記事は、大阪市立大学Webサイト「ステートメントビジュアル」(2020年1月23日公開記事)から転載しています。掲載されている情報は公開当時のものです。

日本ビジネスシステムズ株式会社 常勤監査役

児玉 真二さん

児玉 真二さんの写真

行員として1000億円規模のビッグプロジェクトに

私が籍を置いている日本ビジネスシステムズ株式会社に来て、まだ一年たらずです。この会社のメイン事業はIT。マイクロソフトのベストパートナーとして最近急速に業績を伸ばしている会社です。
私はかつて、この会社に20%出資している三菱総合研究所のIT部門を担う三菱総研DCSや三菱UFJニコスという会社に常務執行役員として在籍していました。そのもっと前、昭和54年に市大を卒業して三菱銀行に入行しています。そして四年ほど、いわゆる一般的な銀行員として勤務したのちシステム部門に配属されたんです。
時はまさにIT黎明期。ITが生活に欠かせないものになる、その前夜です。私もシステム部では銀行の三次オンラインを構築する1000億円規模のビッグプロジェクトに関わりました。私以外にも、あらゆる支店から若手行員が200名くらい呼び寄せられ、総がかりでプロジェクトに挑んだのです。

児玉 真二さんの写真2

IT業務の経験がやがて時代にフィットした

そのあとは銀行内の企画部に異動になりました。今では当たり前のことになっていますが、一人に一台を分配してのパソコンネットワークを構築するのは、当時としてはかなり難しかったんです。そのネットワークを共有し、Eメールや電子掲示板といったものを導入して職場環境の改革に取り組みました。あらゆるコミュニケーションの壁を取っ払うためにITを活用しよう、ということですね。
当時としては自分でもさすがに思いましたね。「なんで銀行員なのにずっとITやってんの?」って(笑)。しかしそういったIT関連の業務改革プロジェクトにずっと携わってゆく中、「業務内容や組織構造を深く理解したITの担当者」という立場がどんどん時代の流れにフィットするようになってゆき、だんだんやりがいを感じるようになりました。今では当然のように稼働しているインターネットバンキング、ネットショッピングなどのベースとなるシステムインフラは自分が作ることに関わったんだ、という誇りも持っています。

児玉 真二さんの写真3

いつでも自分の人生の主人公として

市大時代には体育会の硬式庭球部に所属していたので学業との両立には苦労しました。法学部で、自分なりに勉強したつもりではありましたが、社会に出てから、色々な場面で勉強不足を痛感することがありましたね。
例えば「手形小切手法を勉強した」といっても授業では知識を身に着けるばかりで、実際に手形小切手の現物など当然見たこともないわけです。抵当権と根抵当権の違いについて勉強したとしても、実際のビジネスの場でそれらがどういう役割を持っているのかということもわかりません。学生時代にした勉強は、やがて社会人になって「実務編」として眼前に現れるのです。
しかし勉強していたからこそ、「まだまだ勉強が足りていない」ということにも気づけたのかもしれませんね。自分の知識の浅はかさを知り、いつか必ず銀行員としてITのプロフェッショナルになるぞという気概につながりました。
そういった経験から、私が若い皆さんに伝えたいのは、とにかく大きな夢と理想を持つこと。もう一つは、どんな時も「自分自身が人生の主人公である」という意識を失わないこと。私は銀行員として、いわゆる銀行業務以外の様々な仕事を、様々な現場で行いました。どこへ行っても、自分が物語の主人公のような意識を忘れずにやってきました。人生の豊かさというのは、時にはつらいことがあっても当事者意識を忘れず、人生の主人公として道を切り開いていくことで育まれるのではないでしょうか。