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2024年4月2日

  • 在学生

「この人がいてよかった」と思われる棋士になりたい/経済学部 笠原 悠暉さん

2023年12月に、日本棋院関西総本部棋士採用試験に合格。2024年4月からプロ囲碁棋士としての活動を始める経済学部4年生の笠原 悠暉さんにお話を聞きました。

笠原 悠暉さん

PROFILE

笠原 悠暉さん

  • 経済学部4年生
    2024年4月 プロ囲碁棋士

Q. 囲碁を始めたきっかけは

祖父が囲碁をしていたこともあり、親に勧められて「囲碁サロン知得(ちとく)」という教室に5歳から通い始めました。伝統ある教室で、子どもからアマチュアの強豪までいろんな人がいて、プロになった人も僕を含めて3人います。
僕は8歳くらいからプロを目指そうと思い、後藤 俊午九段に入門して、日本棋院関西総本部の院生になりましたが、今も指導碁教室などで対局指導をするなど、「囲碁サロン知得」にはお世話になっています。

Q. 囲碁の魅力はなんでしょうか

笠原 悠暉さん

囲碁は、他のどんなゲームよりも奥が深くて難しいと思います。そこが魅力ですね。僕はボードゲームが好きで、モノポリーとかマージャンとかポーカーとかも好きなんですが、囲碁の奥深さに勝るゲームはないと思っています。考えないといけない分岐点が多すぎて、どんなにやっても、やり切ったと思えることがない。飽きることがないです。
僕は、混沌とした状況から抜け出したり、もうダメかもというような悪い局面から粘って逆転したりするのが得意かな。

Q. プロへの道のりは

2016年、中学2年生の時にプロ棋士試験に挑戦しましたが、ライバルに負けて1勝差でプロになれなかったんです。結構その時のダメージは大きくて、その後なかなか調子が出なくなってしまい、高校2年生の時にいったんプロになることをあきらめました。でも、囲碁を辞めたわけではなくて、大会に出場もしていました。高校3年生の時には、大学院生まで出場する「第8回 全日本学生囲碁最強位戦」で優勝して日本一になることができました。この結果をもって大阪市立大学経済学部の「ユニーク選抜」を受験し市大生になりました。
大学では囲碁部に所属し、団体戦や個人戦に出場するなど楽しく活動しています。2022年の「第21回全日本学生囲碁王座戦」で準優勝して大阪公立大学教育後援会から「最優秀課外活動賞」をいただくことができました。
いったんはあきらめたプロの道ですが、自分に毎日出勤する会社勤めができるだろうか、組織の中での上下関係に耐えられるだろうか、という漠然とした不安もあり、実力本位の囲碁の世界でやっていきたいという思いが強くなり、プロ採用試験に挑戦することにしました。
今回、強豪ぞろいのメンバーとの対局だった採用試験で何とか合格できて本当にうれしいですし、ほっとしました。

Q. 大学生活はいかがですか

授業に関しては、旅行や電車が好きなこともあって、都市論とか交通論に興味がありますね。
囲碁部以外に合唱部にも所属していて、カラオケも好きです。囲碁部のメンバーもカラオケが得意な人が多くて、囲碁部のカラオケ全国大会があれば団体優勝できるんじゃないかと思ってます。
囲碁部の大会では、他の大学の人とも仲良くなり一緒に香港の国際大会に出場しました。楽しかったですね。

Q. プロ囲碁棋士としての目標は

プロ囲碁棋士になるのはもっと若い人が多く、大学生のプロ囲碁棋士は少ないですからがんばりたいです。
将来的には、みんなから「この人がいてよかった」と思われる棋士になりたいです。この人がいたから今の囲碁界があるとか、この人の碁は魅力的だとか思ってもらえるような活躍をしたいです。
プロになる前に挫折というか負け続けるという経験をしたことは、自分にとって良い経験だったと今は思えます。対局前に結果を意識しすぎないようになりましたし、1回の負けでは動揺しなくなり最後に笑えればいいと考えられるようになりました。
負けたからこそ見えることがあります。失敗も経験ですから、いろんな経験をしてそれを生かしてプロ囲碁棋士としてがんばっていきたいと思います。