記事
2024年7月31日
- 在学生
- 教員
- 経済学
- 工学
- 農学
座談会:海外での経験はきっと将来への糧になる/グローバルリーダー育成奨学金 第6期生
固定概念にとらわれない、世界で活躍できる人材を育成
グローバルリーダー育成奨学金制度 第6期生 活動報告座談会
海外での活動を志望する学生支援を目的とした『グローバルリーダー育成奨学金制度』は、設立以来、多くの学生を支援してきました。そこで第6期の奨学生に、留学先での経験や同制度のメリット、グローバル志向の重要性などについてお話しいただきました。
参加者
- 千田 小春 アリシアさん(大阪府立大学 生命環境科学域3年)
- 辻本 音寧さん(経済学部2年)
- 柳 健大さん(工学部2年)
- 池山 尚高(学生課 課長)
- 橋本 心(学生課 係員)
司会
- 大塚 耕司(大阪公立大学 副学長)
※所属・学年は取材当時
「グローバルリーダー育成奨学金制度」創設の経緯
- 大塚 耕司副学長(以下、大塚)
-
まずはグローバルリーダー育成奨学金制度(以下、GL奨学金制度)創設の経緯についてご説明します。元々は大阪府立大学時代の2016年度中期計画「就学機会を確保し、優秀な学生を獲得するため、奨学金制度を創設する」という記載に沿って、創設に向けた話し合いを学生課と一緒に進めていました。
独自の奨学金制度を創設するという念願は以前からありました。当初、経済困窮学生の支援を含めて検討していましたが、そこは授業料減免制度で担保されていますので、成績上位者を採用する制度設計とし2017年度からの制度開始を決定しました。
しかし皆さんご存知の通り、この制度は2年次生を支援対象とするため、1年次の成績や活動内容を審査し、2年次に選考する仕組みです。そのため2017年度は1年次に向けて制度に関するアナウンスの徹底に努め、GL奨学金採択をめざして頑張る学生が増えることを期待しました。
GL奨学金制度は、特待生の海外留学を資金面でサポートするだけでなく、GLとして必要な能力・国際的な感覚を伸ばす育成セミナーを実施するとともに、国際交流のさまざまな場面に主体的に参加し、リーダーシップを発揮して他の学生へのロールモデルとしての活躍が期待されています。
こうしてGL奨学金制度は、2018年度から正式にスタートし、第1期生を募集しました。応募資格はGPA3.2以上とTOEICスコア700以上いうとても高いハードルを設け、上位1%~2%のみが申請できる制度設計にしていました。その結果、第1期生は9名が採択され、かなりの猛者が集まりました。
それはそれで良かったのですが、2019年度の第2期生は工学域10名、現代システム科学域1名という所属に偏りのある採択構成になりました。そこで2020年度は審査基準と特待生の所属の偏りを解消するため、応募資格をGPA2.7、TOEICスコア650以上に基準を緩和しました。GPAは申請基準にのみ使用して、明確なビジョンや意気込みを持つ学生の面接を重んじたところ、制度申請者は33名という開始以降過去最多となりました。その後、選考して10名に絞りましたが、全学域から奨学生が集まった結果を受け、ハードルを下げて正解だと思いました。これまでの第1期生、第2期生に比べてバラエティに富んだ学生が第3期生として加わり、活動内容も多岐に及びました。
ただ2020年度から2、3年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、予定していた取り組みができない時期が続きました。でもようやく海外への出国が可能になりましたし、望んでいた活動ができるようになりました。ここからは実際にGL奨学金制度を活用している第5期・6期生の皆さんにお話を伺います。まずは制度に応募したきっかけや志望動機について、3年の千田さんからお願いします。
先輩から教えていただいてGL奨学金制度に興味を持ちました
- 千田 小春 アリシアさん(以下、千田)
-
受験と同じタイミングで、大学・国・各団体が行う奨学金制度を調べていた際に、大阪府立大にGL奨学金制度があることを知りました。もともと国際的な活動に興味があり、制度を見つけた時「高校生としての経験を生かして、大学でできることがあるんだ」という希望を感じ、応募を決めていました。大学入学時はコロナ禍だったため、オンラインでの活動が中心でしたが、現在の自分を形成してくれた大きな経験でした。
- 辻本 音寧さん(以下、辻本)
-
大学1年次の時にエンブリー・リドル航空大学(アメリカ)との国際交流に参加した際、GL奨学生として参加されていた先輩からこの制度について教えていただきました。海外の方とのコミュニケーションが好きだったので、国際交流や新しいことへの挑戦ができると思い、応募しました。
- 柳 健大さん(以下、柳)
-
GL奨学金制度を知った経緯は先輩からの紹介になります。高校の頃から大学入学後は、起業と国際交流を実行しようと心に決めていました。そのため、まずは大阪公立大から合格通知をいただいてすぐ国際交流課にコンタクトを取り、大学での国際交流について詳細を教えていただきました。それと同時に、大学のさまざまな先輩方から大阪公立大での起業や国際交流に関してお話を聞かせていただきました。その時GL奨学生の先輩と知り合い、制度について詳しく教わり、高校生の時から数学研究部や生物研究部での活動を通して国際交流もしていたので、GL奨学金制度を活用すると部活動での経験をさらに発展させることができると思い出願させていただきました。
科学技術を社会に応用するため、国際性を身に付ける必要性を感じました
- 池山 尚高課長(以下、池山)
-
3人とも高校の頃から国際交流に興味を持っていたということですが、そのきっかけになった出来事があれば教えてください。
- 柳
-
子供の頃から伝記を読むのが好きで、過去の偉人や研究者が大学卒業後に海外の研究機関で経験を積んでいるケースが多いと知り、漠然と(海外の研究機関に)渡航を望んでいました。大阪公立大に進学したことでGL奨学金制度の活用はもちろん、あらゆる人々との出会いにより、それまで不鮮明だった海外渡航へのビジョンが明確になりました。
- 千田
-
私の場合、中学生の頃から研究が好きで、科学技術を社会に応用させたいという大きな目標がありました。それを達成するための方法を模索していた時、アントレプレナーシップの重要性を知りました。そんな中で挑戦した「ビジネスプランコンテスト」では、世界規模の課題に対して科学技術を用いたビジネスアイディアを立案し、国際性の大切さを改めて体感しました。
- 辻本
-
国際交流への興味のきっかけは、出身高校で行われたグローバルリーダー研修への参加です。海外留学の大学生とZoomをつなぎ、国際問題や気候変動などの課題を一緒に考えるプログラムでした。その際に英語でコミュニケーションを取ることでグローバルな問題の解決ができると実感したので、大学でさらに学びの機会を得たいと思いました。
志望した理由は、国際交流に関連する施設やサポートが手厚いから
- 池山
-
各大学でグローバル関連の制度や取り組みがありますが、本学に関してどのような部分を特徴として感じましたか? またそれを踏まえて、本学を選んだ理由を教えてください。
- 千田
-
大阪府立大を選んだ理由は、自宅から通えるアクセスの良さが大きかったです。それに広大で美しい中百舌鳥キャンパスに惹かれました。正直、コロナ禍で入学したこともあり、当初は自分がここまで多くの国際的な活動に取り組めるとは思っていませんでした。しかし、GL奨学金制度も含め、大学からさまざまな情報が提供され、活動を支えてくださったおかげで学生生活は大きく変わったと思います。学生課や国際交流課、そして高度人材育成推進センターのFledgeプログラム(グローバルアントレプレナーシップの連携、探求、発展を促進するプログラム)など、大学内の異なる機関がそれぞれの特色を持って学生をサポートしている点が素晴らしいです。
- 辻本
-
私も正直なところアクセスが便利というのは志望理由の1つとしてありました。大阪公立大には推薦入試で入学しているのですが、受験の機会が多いという点で選んだというのもあります。先ほど千田さんのお話にもありましたが、私も教職員の方々の手厚いサポートを感じています。
- 柳
-
僕の場合は、大学の間に起業してみたいという思いから、企業が多い東京もしくは大阪の大学から志望大学を選びました。そして、合格した各大学の国際交流課や研究室に連絡を取り、活動および研究内容をリサーチしました。その中で大阪公立大を選んだ理由は、国際交流施設「I-wingなかもず」で学生と外国人留学生が一緒に暮らせる制度がある点にとても惹かれました。また学部の間に海外の研究室で卒業研究が行えたり、大学院研究室と海外の大学および研究機関、双方の学位を取得できるダブル・ディグリー制度があり、国内や大学の枠を超えた研究活動を学部の段階から行えるのを知り、入学への思いが一層高まりました。
アメリカの学生たちは自身の研究分野での起業意識が高い。焦りを感じました
- 大塚
-
では次の質問に移りましょう。GL奨学金で実行したい活動を教えてください。すでに実行済みの場合は、その経験を今後にどう活かしたいですか?
- 辻本
-
今年8月にイギリスへの短期研修に参加し、現地の生活や文化について学びました。海外でネイティブの方から英語を勉強する初めての機会だったので、自分にとって多くの学びと刺激を得た研修になりました。また不慣れな海外生活を、現地の大学職員やチューターの方々が親身に支えてくださり、楽しくて充実した時間を送ることができました。この経験を活かして、今後は本学への海外留学生と交流し、留学に興味のある学生をサポートしたいです。
- 柳
-
僕の場合、他財団から獲得した奨学金を使い、今年の夏はアメリカで研究に取り組んでいました。その際の研究インターンで訪れた以外の大学研究室やベンチャー企業への訪問、アカデミアの会合参加にGL奨学金を活用させていただきました。アメリカではアントレプレナーシップが発達していることに非常に驚きました。すでに起業している修士やドクターコースの学生たちが、研究分野の社会応用化をめざす熱い現場を目の当たりにして、とても刺激を受けました。おかげで自分のAI研究を活かした起業ビジョンがクリアになったように思えます。
また、留学先で出会った人たちの多くは自分の生活や生産性、生活様式をとても大切に考えていると思い知らされました。プロジェクトの末端の方々まで明確に目的意識を持っている点も日本と大きく異なる気がします。プロジェクトを達成するため多少の自己犠牲は生じますが、基本的には自分の健康維持や家族を大切にしています。それが自身の生産性を高くキープし、最終的にプロジェクトの生産性向上につながるということを理解しています。日本での自分は、日常生活を大切にせずに無茶ばかりしてやりたいことをやっていましたが、それだと定期的に体調を崩し、結局生産性を下げてしまっていました。海外渡航により、自分の健康とプロジェクトに向き合っている方々に出会えたことで、自らの限界を知り、生活様式を変えることができました。
- 池山
-
素晴らしいです。アントレプレナーマインドの面や学生起業家が多い状況に関しては、海外に比べて日本はかなり立ち遅れているという認識ですか?
- 柳
-
そうですね。(日本と比べて)まず圧倒的にアントレプレナーの知識がある学生の数が全く違います。今、日本の研究室に所属させていただいていますが、ほとんどの学生は社会実装に関して他の誰かがやってくれるだろうと考えている人が多く、研究技術や社会応用のメリット、応用する道筋などを考慮に入れた研究テーマの設定などができていないように感じます。しかし、僕が研究留学で出会った海外学生の傾向から考えると海外の学生は起業も視野に入れて研究計画をするため、自分の研究対象がどのように社会応用までの過程を明確に持っていたり、研究に対するモチベーションが高かったりと、研究への姿勢や意識に格段の違いがあります。
- 千田
-
シリコンバレーだと高校生の時点からアントレプレナーシップ教育が始まっていると聞き衝撃を受けました。シリコンバレーの私立高校で教鞭を取られているMBAの先生に教わったことがあり、早期からの意識変革の重要性を体感しました。
GL奨学金制度を取得したことで、海外渡航への背中を押してくれました
- 千田
-
私はコロナ禍だった2022年度にGL奨学生として採択されたので、当初はオンラインでの活動を余儀なくされました。内閣府の青年国際交流事業や、外務省の対日理解促進プログラム、米国領事館の学生のプログラムなど全てオンラインでしたが、とても充実した学びの時間を過ごせました。おそらくこれだけ並行して同時に進めることができたのは、オンラインだったからこそと思います。
採択1年目の後半からはコロナ禍の水際対策が緩まり、海外渡航が可能になりました。実は大学入学後に海外への渡航は考えていなかったのですが、GL奨学金制度により資金を得たことで渡航への後押しをしてくれたのはとても大きかったです。
海外渡航に関しては、タイへの講義受講(Fledgeプログラム)や、韓国への短期研修プログラムに参加しました。また外部のエージェンシーを通じてUAEとバーレーンにも行きました。渡航経験は現在の活動につながっています。
- 大塚
-
GL奨学金を使った渡航経験で皆さんのマインドが変化し、成長してくれているのはうれしい限りです。コロナの話がありましたので、コロナ禍を経て、物事に対する視点や着眼点がどのように変化したのか教えてください。
- 千田
-
コロナの影響で活動がオンライン化されたことが、身近に感じた一番の変化でした。でももう少しグローバルな視点で世界を見ると、社会情勢は世界の変化や情勢と密接につながっていますし、見えないところでもつながっています。だからこそグローバルな視点を持つことはとても大事だと感じました。
やはりコロナ禍により各国が閉鎖的になってしまい、人々も閉鎖的になり、グローバル化によって進んでいた人間の寛容性が一部失われてしまった感覚があります。世界的に「内と外」の意識が強まり、それこそ今世界では2極化による分断の傾向が高まっていると思います。だからこそ今の若い子たちには、先入観にとらわれず、どんどん垣根を越えて広い視野をもって欲しいなと思います。
異なる「国」だけでなく、異なる「分野」から学ぶことも大事だと思います。私の活動先にはあまり理系がおらず、社会科学や国際外交などに関連する学生が多いため、多くの刺激を受けます。専門外だからこそ学ぶ意義はあるし、これから分野を超えた学びは更に重要になると思います。理系の学生が世界とつながることで、双方に新しい視点や刺激を与えてくれるはずです。
- 大塚
-
2極化というと2020年を思い出します。世界中が全て「自国は、自国は」という意識になってしまい、その延長線上に各所で争いが始まりました。逆に賢い人間であればそれを反省点にすべきだと、千田さんの話を聞いてそう感じました。
- 柳
-
僕はコロナ後から活動を始めたので比較はできませんが、グローバルな視点を持つということを考えた場合、「思いやり」、「チャンス」などのキーワードを連想します。まず、グローバルな視点を持つことで、国内の問題解決をした場合、ローカルな問題解決の手法を他の地域・海外のローカル問題を解決することにも転用可能であることに気づきます。世界的な視野を持つことにより、類似の問題で困っている多くの人々にソリューションを提供できるところに重要性があると考えます。これは同時に、海外の事例が日本国内問題の解決手法を見つける手掛かりになっていることを示しています。次に、国内の問題解決の影響について地球上は繋がっているためグローバルで影響を考えて、国内の問題解決の手法を修正したり、よりグローバルな問題解決策を策定できたりするようになります。グローバルな視点がないと、ローカルな問題解決の際に、他の地域への影響が考えられていないという問題や問題解決策の見本を探しづらい問題がありますが、グローバルな視点を持つことで解消されるのではないでしょうか?
コロナ禍が改善した今だからこそ、海外との架け橋になれる人材が必要です
- 辻本
-
コロナの影響で海外との往来がなくなったことで、日本と海外は強いつながりがあったのだと強く感じました。コロナ禍が徐々に改善しても、元の関係に戻ろうとしている今だからこそグローバルな視点を持っている方や、海外との架け橋になれる人材が今後さらに必要になると思います。
- 池山
-
現在の3年次生はコロナ禍により「失われた3年間」と言われ、高校3年生から始まって最も活動が制限された年代です。3年の千田さんは活動が制限される中でどのようにモチベーションを維持してきましたか? 逆境に対してどう捉え、行動してきたのか教えてください。
- 千田
-
逆境をポジティブに捉え、自分の力に変換していけたことが、自分がコロナ禍を乗り越えられた要因だと思います。大学に入学した際は全てオンライン授業でした。私は高校時代、みんなが前のめりで授業に参加する教室での学びが好きだったのですが、オンライン授業には一切その雰囲気はなく、画面越しの一方的な講義は全く楽しめなかったです。
ですが、夏休みの時期に、国際交流課の掲示板でオンライン留学の情報を見つけてから、世界が変わりました。まだ渡航するには不安定な時期だったので留学は考えられていませんでしたが、オンライン留学なら自宅から学べること、しかも大学から半分補助が出ることに魅力に感じ、参加を決意しました。
しかし、やはりオンライン留学では、毎日長時間画面と向き合いながら慣れない英語を喋っていたため、本当にストレスがかかり、じんましんも出たくらいです。でも画面越しでノンバーバルな意思疎通が難しい状況だったからこそ、自分の英語力の低さをひどく痛感し、それが逆にバネになって、英語の勉強に力が入りました。やはり逆境を力にするポジティブな精神は、成長する上で大事だったと思います。
好きな国に行きたいという思いでもGL奨学生を志望する理由になります
- 池山
-
柳さん、辻本さんはコロナ禍の際に心がけたことはありましたか?
- 柳
-
僕の場合は、コロナ禍が高3の頃と受験期と被ってしまったため影響が少ない方だと思いますが、シンガポールで開催される数学の国際大会に出場する予定だったのが、全てオンライン開催になりました。海外の人と直接的な交流をできなかったというハンディキャップがありましましたが、 不思議と自分の限られた環境の中でもやりたいことが無尽蔵にあったため不便はしませんでした。オンラインでも授業が提供されていましたし、手元でできるやりたいことがあったので。 でも出国できない窮屈さは感じていましたね。
- 辻本
-
高校生の時にもイギリス研修に参加しようと思っていましたが、コロナの影響で中止になりました。出身高校に入ったのもイギリス研修があるという理由だったので当時は落ち込みました。でも高校がグローバルリーダー研修や、国際交流のオンライン開催の機会を設けてくださったので、モチベーションを保つことができました。子どもの頃からハリーポッターが大好きで、いつかイギリスに行きたいと思っていたんです。
- 大塚
-
コロナ禍により大学での授業や会議がオンラインでの実施になりました。私たちは大学統合に関する会議もたくさん行いましたが、オンライン開催で良かったと思います。対面開催だと複数の会議が各地で行われるため、移動が難しくなり、授業に差し障りが生じる可能性がありました。良くも悪くも、コロナは世の中の変革を進めてくれたという一面はあります。
GL奨学生の先輩方の活動を共有することで、現役学生たちのビジョンが鮮明になる
- 大塚
-
では次の質問に行きましょう。グローバルリーダー育成奨学金制度を継続することで感じる意義を教えてください。また制度の継続が大学に対してどのように還元されていると考えられますか?
- 柳
-
GL奨学金制度を継続することにより、先輩方の活動内容が脈々と蓄積されていきます。先輩方における大学時代の活動および享受できるメリット、その経験を元に社会人としてどのような活動を新たに実践できているのか。現役の大阪公立大生は、それらをリンクした有益な情報にアクセスできるため、将来へのクリアなビジョンを持つことができます。
さらにGL奨学金制度があることで、資金面で諦めざるを得なかった海外への留学プランを実行でき、人々との交流機会を作ることができます。さまざまな自分の可能性を広げてくれたという点において、とても意義のある制度です。
またGL奨学生は活動の様子を SNSから発信し、国際交流の面白さや重要性を継続的に伝えています。その投稿をチェックすることにより、大阪公立大生が「海外活動をやってみたい!」と思ってもらえればうれしいですね。あらためて、海外交流をより身近に感じてもらえるプロジェクトだと感じています。
- 辻本
-
プログラムの継続により、縦と横の関わりが生まれています。千田さんのようにたくさんの経験をされている先輩方や、柳くんのようにいろんなことにたくましく挑戦する同期がいるおかげで、新しいことへのチャレンジに背中を押してくれるきっかけになると思います。
私も先輩に教えてもらったというご縁で参加することができました。GL奨学生は互いに切磋琢磨しながら各々の活動をしていますが、1つの物事に取り組む時は、協力して知恵や知識を出しあい解決をめざします。そんな高めあえる存在に出会えるのが、プログラム制度の意義だと思います。
- 千田
-
お2人のお話を聞いて、GL奨学生の つながりを意識的にもっと大切にしたいと思いました。GL奨学金制度を大学が設立、継続してくださっていることは、グローバル意識を持った学生の応援になっています。私自身もGL奨学金制度があったから、自分の活動に自信を持てるようになり、活力になっています。専門と異なる活動に取り組むことは少なからずプレッシャーを感じるものです。そういう意味でも、GL奨学金制度は「大学が応援してくれているんだ」という大きな心の支えになっていました。
今度、海外に行く学生がもっと増えると思いますが、資金面により渡航をあきらめる学生も増加すると思います。でも奨学金での支援により、そんな学生たちに自由と希望を与えています。本当に意義が高い制度だと感謝しています。
- 大塚
-
皆さんが話してくれたように、縦と横のつながりにより、GL奨学生チームのようなものができあがりつつありますし、それを次の代に継承したいという意識も芽生えているように感じます。1人ひとりがインフルエンサーとして他の学生に与える影響力はありますが、GL奨学生チームが一丸となれば、もっと大きなインフルエンサーとしての力が生まれます。そこには今後期待したいですね。
また冒頭で話してくれましたが、当大学の特徴の1つであるアントレプレナーシップ教育は、GL奨学金制度とうまく呼応しているように感じます。双方を上手にリンクさせて活用する学生も見受けられます。私たちが重要視するこれら2つの制度は、本学を志望する学生が増えるための要因になってくると思っています。
- 池山
-
GL奨学金制度は大阪公立大学教育後援会が全面的に支援しています。本日のお話を聞いて、皆さんはとても有意義に使っていただいてると感じました。実際に活動されている皆さんにとって、奨学金の30万円という金額は妥当と感じていますか? ご意見をお聞かせください。
- 千田
-
私の場合、活動時期の前半はコロナ禍のためオンラインでの活動だったため、全て無料でした。しかも複数の活動に取り組んでも費用が必要なかったというのはとても大きかったです。でも後半は海外での活動が再開できたため、2年分(千田さんは継続2年目)の奨学金をほとんど使い果たしました。特に現在は円安の持続化によりレートが高いですし、インフレーションが加速し続けている社会情勢を考えると、資金援助は必要だと思います。
- 橋本 心係員(以下、橋本)
-
学生課としては、GLの皆さんは本学のロールモデルになる存在だと認識しています。GL奨学金制度を継続することで、新たなグローバルリーダーを誕生させることができますし、皆さんがさまざまなフィールドで活躍することで、学生にも刺激や影響を与えることができます。また入試説明会などでGL奨学生としての活動を紹介していただくことで、受験生の皆さんが大学での学びに夢を描いていただけるのではないかと期待しています。受験勉強へのモチベーション向上にもつながるはずです。職員としてはGL奨学生になった学生を全力でバックアップしていきます。
専門分野にとらわれず、海外にも視野を向けて挑戦を!
- 大塚
-
では最後に、高校生に向けたメッセージをお願いします。
- 千田
-
高校生に対して願うのは、学問の専門分野や自分の居場所にとらわれず、どんどん挑戦してほしいです。どのような大学でも活動するためのサポート制度は存在するので、積極的に探してみてください。常に新しいことを学び続けるという姿勢で、楽しんで大学進学に向けて準備してほしいです
- 辻本
-
新しい物事に挑戦することに慎重になってしまう方は多いと思いますが、そういう方も大阪公立大に入学すると、千田さんや柳さんのような先輩の存在を知って刺激になるはず。GL奨学金制度の活用が、新しいことに挑戦するきっかけにつながればうれしいです。
- 柳
-
僕が今感じている大学に入ることで得られるメリットは、活動の質や幅、自分のコミュニティを広げること。この3点が大きいです。まず、活動の質や幅ですが、大学に入ればあらゆる専門分野のトップの教授がいて、先生方と話をすることで専門的な知識をより深めることができます。また大学生としてさまざまな活動を探す際に、例えば公立大だと学生主体で運用されているSSSRC(小型宇宙機システム研究センター)や、フォーミュラーカーを製作している団体など、課外活動以外にも多くの団体があります。高校の時には金銭的、技術的に不可能だった活動が大学で待っているので、ぜひワクワクして大学の門をたたいてほしいです。また、コミュニティを広げる点についてですが、高校までは地域ベースのコミュニティで活動している人がほとんどだと思いますが、大学に出ると興味ベースの国内・国際的なコミュニティに入ることが容易になり、国内・国外の興味を共有できる人と繋がりやすくなります。大学入学後は、自分の好きなことを切磋琢磨して取り組める友人を大学や国にとらわれず見つけてほしいです。さらに、何かしら活動しようとした際に、大学や国、財団によるサポート体制が充実しているので、それを自分でつかみ取れるよう、積極的に行動するとより充実したキャンパスライフを送れるのではないのでしょうか。ぜひ思いっきり大学生活を楽しんでください。
- 橋本
-
大阪公立大学はグローバル戦略に基づいて、将来グローバルな視点と深い専門性を兼ね備えた国際性豊かなリーダーとして世界に貢献する人材の育成をめざし、学業、人物ともに優秀な学生に対する奨学支援として、大阪公立大学GL育成奨学金制度を設立しています。対象は2年次の学生となっていますが、申請時に1年次の成績や学力テストの結果、社会活動の実績などが応募の資格要件となります。なかには千田さんのように高校生の頃からGL奨学金制度を目標に掲げていらっしゃる方もいますので、興味のある方は、積極的に大学に問い合わせてみて欲しいと思います。
- 大塚
-
今日、座談会に参加してくれた皆さんは、高校の時からビジョンを明確にし、それに向かって大学を選択しています。ぜひ受験生の皆さんも、先輩たちのように自分のやりたいことをしっかり持って、志望大学でどういった活動ができるのか。どのような先輩がいるのかということをしっかりリサーチして、積極的に行動してください。その答えが大阪公立大学であれば、こんなにうれしいことはありません。本日はどうもありがとうございました。
- 一同
-
ありがとうございました。