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2025年2月20日

  • 生活科学
  • 在学生

信頼できる仲間たちと共にチームを支えた4年間/前川泰輝さん(生活科学部4年・硬式野球部主務)

生活科学部4年で硬式野球部主務の前川泰輝さんが、公益財団法人日本学生野球協会 令和6年度の表彰選手に選出されました。表彰選手は全国26の全日本大学野球連盟から各1名の推薦を受けて、日本学生野球協会が選出。野球と学業の両立を評価基準として、前川さんは近畿学生野球連盟から推薦され、今回の表彰となりました。そんな前川さんに野球の世界に足を踏み入れたきっかけや主務としての活動内容、後輩への思いについてお聞きしました。

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右より福島 伸一理事長と前川 泰輝さん

PROFILE

前川 泰輝(まえかわ たいき)

  • 大阪市立大学 生活科学部 食品栄養科学科4年/硬式野球部主務
    和歌山県岩出市出身(出身高校:和歌山県立桐蔭高等学校)
    ※所属・学年は取材当時

Q 野球を始めたきっかけは?

父親が野球経験者で、母親もソフトボール経験者という野球一家で育ったこともあり、幼い頃から自然と野球に触れていたようです。小学2年生の時に父がコーチを務めていた和歌山リトルリーグで本格的に野球を始め、中学では軟式野球部、高校では硬式野球部に所属し汗を流しました。

その一方で野球の審判員にも注目していました。自宅のテレビではいつもプロ野球の試合が映っていたため、球審の動作に興味を抱いたのがきっかけです。中学1年生の頃にはプロの審判員になりたいと思い、中学、高校での練習試合では率先して審判の役割を引き受けていました。

Q 生活科学部をめざした理由や動機は?

高校の硬式野球部は、外部業者による栄養サポートを月に一度受けていました。その時に栄養に関する知識を学んだことで、学問として興味を持つようになりました。高校2年の冬には、大阪市立大学 生活科学部 食品栄養科学科(当時)を第一志望に決めました。男子で栄養学を学べる大学は限られていますし、通学圏内に大学があるということで「ここしかない!」という思いで、必死に勉強を頑張りました。

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Q 大学入学後、硬式野球部に入部した前川さんですが、選手ではなくスタッフを選んだ理由は?

技術的な問題もあり、選手としてプレーを続けることに限界を感じていました。それに高校野球の最後の打席で左中間への二塁打を打てたことにより、気持ちよく選手生活を終えることができるという思いもありました。高校2年の夏に怪我による手術を経験し、順風満帆な選手生活ではありませんでしたが、未練なく部活を卒業できました。最後のヒットの感触は今でも覚えています。

ただ、高校卒業後も何らかの形で野球には携わりたいと考えていました。そんな中で、選手のサポートを見えない部分で頑張っていた高校時代のマネージャーの存在が頭に浮かびました。自分自身、裏方の仕事は好きでしたし、チームを支えるスタッフとしてなら硬式野球部に関われると思い、マネージャーを志望しました。

それにこれまで以上に審判員としての経験を積めると期待していました。実際に大学野球の練習試合やオープン戦では球審や塁審に入っていましたし、近畿学生野球連盟のリーグ公式戦の塁審を務めることもありました。

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Q 硬式野球部のスタッフはどのような仕事をしていますか?

スタッフは部を裏から支える「縁の下の力持ち」です。練習の補助を中心に、部活動の予定管理、会計、広報など全てスタッフが行います。マネージャーは練習補助と部の運営の両方を、主務は学内調整や申請などの事務全般を行います。私の場合は野球経験があるので、ノックも打っていました。

Q 審判の魅力を教えてください。

試合をコントロールする重要な立場にある中で、正確なジャッジを続けて無事試合を終えた時に得られる達成感と安堵感です。より正確に判定するために、試合終了後には私の中で曖昧だと感じた部分を中心に反省と勉強を繰り返します。今はOBの立場で、今春からは大学院に進学しますが、今後は大学野球や地元の高校野球の審判を務めつつ、プロ野球の審判員の試験である、「アンパイア・スクール」に挑戦し、プロ野球の審判員になる夢を叶えたいと考えています。

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Q 大学生活で得たものは?

人間として成長させていただいた4年間でした。主務として学内外の組織の方々と事務調整などのやり取りをさせていただけたのは大きな経験でした。

2023年6月に開催された「第72回全日本大学野球選手権大会」に近畿学生野球連盟を代表して出場させていただいたのは良い経験になりました。出場前後の時期は、選手はもちろん私たちスタッフもとても忙しく動いていました。特に内外調整をはじめ、これまで取り組んだことのないようなハードルの高い仕事を何とか完遂できたのは、仲間たちと一丸になって頑張ることができたからです。自分1人では仕事はできません。仕事面も精神面もサポートしてくれたみんなへの感謝の思いでいっぱいでした。人との関わり方を学べて、人間的にも成長できたと思います。

Q 前川さんと同じ立場で部活動を陰で支えているスタッフに対してメッセージをお願いします。

チームの結果が伴わない時、サポート面で何か間違いがあったのだろうかと落ち込むことがあると思います。でもそんな時こそ気持ちを切り替えてほしい。実際にプレーをする選手は大切な存在ですが、サポートする私たちがいないとチームは成り立ちません。スタッフの仕事は本当に大変ですが、チームが勝利した時の喜びは格別です。個人的には選手以上に喜んでいるのではないかとさえ思います。自分たちがチームを支えているという誇りを持って頑張ってください。

また現役選手で、怪我のため野球を継続できない方や、私のように技術面に不安のある方にはスタッフへの転身という道もあります。大変な仕事ですが、選手の時には見えなかった新たな視点が備わり、楽しさを感じることが多々あるので、野球の世界に関わり続けたい人はスタッフの仕事にも目を向けてもらえたらうれしいです。

Q 公立大の後輩や、公立大をめざす受験生に向けてメッセージをお願いします。

硬式野球部の後輩には本当に「頑張れ! 勝ってくれ!」です。国公立、私立を含めて数多くの硬式野球部がしのぎを削る中で勝ち抜くのは難しいですが、リーグを制覇して2023年以来の全国大会に出場してください!

受験生の皆さんへのメッセージとして、公立大の強みは多種多様な部活動やサークルがあることだと思います。生涯の友人もできますし、人生の糧になることも経験できるので、興味のある活動があれば入部してほしいです。もちろん勉強は大切です。公立大は学部も充実し、あらゆる分野の学問が学べるのも大きいです。ぜひ公立大をめざして、受験勉強を頑張ってください!

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