お知らせ
王立プノンペン大学(カンボジア)との世界銀行プロジェクトによる教員研修団を受入
2023年6月22日
- 国際交流
- 教育
本学と王立プノンペン大学(RUPP:Royal University of Phnom Penh)は、カンボジアの拠点大学の教育改革を目的として行う、世界銀行の「高等教育高度化プロジェクト(HEIP: WB-Higher Education Improvement Project)」を共同実施するパートナーシップ協定を締結しています。
本プロジェクトの一環として、2023年5月14日(日)~27日(土)に、RUPPの工学部若手教員6名を本学に招き、研修を行いました。本研修は、同大学の教員の研究指導力や授業の設計の知識を向上させることを目的とするもので、情報学研究科の教員とデータサイエンスおよび情報通信のグループ、生活科学研究科の教員とフードテクノロジーのグループに分かれて行いました。
研修期間中は、中百舌鳥キャンパス、羽曳野キャンパスを中心に、杉本キャンパス、りんくうキャンパスを訪問し、研究室訪問や、カリキュラムやシラバスに関するディスカッションおよび学生への指導などを行いました。また、本プロジェクトで連携している大阪公立大学工業高等専門学校(以降、高専)も訪問し、教員との意見交換や学生への講演を行いました。
本プロジェクトでは、今回の短期招へいのほか、同大学の若手教員3名が本学の大学院(情報学研究科 博士後期課程、獣医学研究科 博士課程)に在籍し、学位取得に向けて研究活動に従事しており、今後もカンボジアでのワークショップ開催などの取り組みを行っていく予定です。
プログラム報告
1.オリエンテーション
5月15日(月)および・16日(火)は、オリエンテーションと、カリキュラムやシラバスについてのディスカッションを行いました。キャンパスツアーでは、植物工場研究センターを見学しました。
集合写真
植物工場研究センター見学の様子
2.データサイエンスチーム/情報通信チーム
データサイエンスおよび情報通信チーム(4名)は、戸出 英樹教授(情報学研究科 基幹情報学専攻)の企画・調整のもと、情報学研究科の教員方と共にカテゴリ分けされた科目群ごとのシラバスに関する説明と相互の意見交換を行いました。また、中百舌鳥キャンパスおよび杉本キャンパスにおいて、関連研究室を訪問し、最新研究や研究室活動についての紹介や議論を行いました。
具体例として、知的ネットワーキング研究室を訪問した際には、スマートファクトリにおける無線LANの通信遅延保証技術と性能評価のための計算機シミュレーション技法の紹介や、ネットワークセキュリティ関連として企業への標的型攻撃の実際とその防御技術の紹介を行い、その後、有意義な意見交換を行いました。
知的ネットワーキング研究室訪問の様子
知的ネットワーキング研究室訪問の様子
3.フードテクノロジーチーム
フードテクノジーチーム(2名)は、竹中 重雄教授(生活科学研究科 生活科学専攻)の指導のもと、羽曳野キャンパスおよびりんくうキャンパスでプログラムを実施しました。
それぞれのキャンパスで関係科目を担当する教員からの講義や研究に関する意見交換を行った後、食品加工学実験(3年生)と生化学実験(2年生)の指導を行いました。また、食品加工学実験ではカンボジアの郷土料理(クメール料理)が披露されました。RUPPの教員からは、カンボジアと日本の食文化の違いやRUPPとOMUの教育システムの違い、特に教科書の違い(RUPPでは英語)が指摘されました。
生化学実験の様子
食品加工実験の様子
4.学長表敬訪問
5月19日(金)には、辰巳砂 昌弘学長への表敬訪問を行いました。研修団からは、プログラムを通じて得た、カリキュラムやシラバスにおける本学とRUPPとの相違点について報告があり、「2週間のプログラムで学んだことをRUPPの教育改革に活かしたい」と抱負を述べました。
集合写真
Dr.Chhoeum Vanthaと辰巳砂学長
5.大阪公立大学工業高等専門学校 訪問
本プロジェクトは、高専も連携しており、5月23日(火)は6名全員でキャンパスを訪問しました。東 健司校長との懇談に加え、土井 智晴教授(高専 知能情報コース)ほか教員との意見交換や、研修団による学生への講演を行いました。
日本の「KOSEN」制度、本校で実施しているDXマインドを備えた技術者養成教育についての紹介をし、4年生が基礎研究で作製した「ロボットアーム」の実演もしました。また、2年生には、カンボジアやプノンペン大学、カンボジアの高校生活などについて、英語で紹介しました。
講演のお礼として、茶道部員によるお点前でおもてなし、凛とした空気の中で茶道を楽しんでいただきました。
4年ぶりに海外からのビジターをお迎えしました!―王立プノンペン大学の先生方が来校―(高専 Webページ)
集合写真
講演の様子
6.企業見学・美術館見学
研修の一環として、5月24日(水)にサントリーホールディングス株式会社のサントリー〈天然水のビール工場〉京都を訪問し、製造プロセスの説明を受け、最新の製造工程の見学も行いました。
また、大阪市立大学 経済学部OBの塚本 喜左衛門氏のご厚意で、西陣織あさぎ美術館と庭園家・重森三玲の旧邸を見学し、日本文化の伝統の端緒に触れる機会を得ることもできました。
工場見学の様子
美術館見学の様子
関連情報
HEIPプロジェクト
本プロジェクト(期間:2021年4月~2024年12月)は、カンボジアの拠点大学の教育改革を目的として行う、世界銀行の「高等教育高度化プロジェクト(WB-Higher Education Improvement Project)」を王立プノンペン大学(RUPP)と本学(締結当時:大阪府立大学)で共同実施するものであり、RUPPが、世界銀行からの資金提供を原資とし、同大学および本学で実施する受託事業。
同大学工学部の「電気通信」「ITエンジニアリング」「バイオエンジニアリング」の3分野の教育カリキュラム改革実現に向けた取り組みで、RUPPの若手教員の本学での博士の学位取得や、現地での教員対象のワークショップや本学における研修などを実施中。
お問い合わせ先
国際交流課
072-254-9962
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