お知らせ
JST戦略的創造研究推進事業「さきがけ」に3件の新規研究課題が採択
2023年9月29日
- 研究
- 理学研究科
- 工学研究科
- 医学研究科
2023年度科学技術振興会 (JST) 戦略的創造研究推進事業 「さきがけ」の新規研究課題に、工学研究科の仲村 英也准教授、理学研究科の竹内 宏光講師、医学研究科の高杉 征樹助教をそれぞれ研究代表とする3つの研究課題が採択されました。
「さきがけ」は、我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、独創的・挑戦的かつ国際的に高水準の発展が見込まれる先駆的な基礎研究を推進し、新技術シーズを世界に先駆けて創出することを目的としています。
研究課題名:粉体の流動と混合の時間・空間スケーリング
- 戦略目標:「複雑な輸送・移動現象の統合的理解と予測・制御の高度化」
- 研究領域:「複雑な流動・輸送現象の解明・予測・制御に向けた新しい流体科学」
- 研究課題のポイント:
・大規模・長時間スケールで起こる粉体の流動・混合現象の計算手法の創出
・粒子径が不均質な実在粉体まで扱うことができる粉体シミュレーション技術の創出
・1個粒子スケールの微視的な混合均一性まで予測できる高速計算代理モデルの開発
コメント
大規模・長時間スケールで起こる粉体の流動・混合現象の予測に焦点を当てます。実在粉体が必ず有する粒子径不均質性を扱うことができ、かつ、1個粒子スケールの微視的な混合均一性まで予測できる高速計算代理モデルと粗視化計算技術の開発に取り組みます。これにより、実在粉体の流動・混合挙動の時間・空間スケーリングを可能とする粉体シミュレーション技術を創出します。
仲村 英也准教授
(工学研究科)
研究課題名:量子粘性の検証と複雑な量子流動現象の解明
- 戦略目標:「複雑な輸送・移動現象の統合的理解と予測・制御の高度化」
- 研究領域:「複雑な流動・輸送現象の解明・予測・制御に向けた新しい流体科学」
- 研究課題のポイント:
・量子粘性を定量的に検証することで「純粋な超流体には粘性がない」という物理学の長年の常識を覆す挑戦
・量子粘性の確立により量子流体力学を包括する流体科学の新たな枠組みの創出へ
コメント
量子力学的効果が顕著なある種の物質は絶対零度近傍の低温下でも固化せず、超流体という非粘性流体に相転移します。超流体の流れは従来の流体よりも簡潔に記述されるため、流体科学の悲願である乱流理論の構築に有効な模型として注目されていますが、乱流に付随するはずの散逸の機構がその非粘性ゆえに十分理解されていません。本研究は量子粘性という概念を導入してこの困難を解消し、新しい視点から乱流理論の構築に挑戦します。
竹内 宏光講師
(理学研究科)
研究課題名:プロテオームから紐解く加齢性転写後調節異常と老化メカニズム
- 戦略目標:老化に伴う生体ロバストネスの変容と加齢性疾患の制御に係る機序等の解明
- 研究領域:加齢による生体変容の基盤的な理解
- 研究課題のポイント:
・加齢に伴う転写後調節異常の主たる原因の解明
・加齢に伴う転写後調節異常が生体機能の低下に及ぼす影響の評価とその機序の解明
コメント
老化がタンパク質レベルの恒常性の破綻により駆動される可能性が注目を集める中、タンパク質発現プロファイル、すなわちプロテオームが加齢に伴いどのように変化しているのかは大部分不明なままでした。私たちはマウス主要組織のプロテオームの加齢変化を解析しており、本研究では ① 2大タンパク質分解系であるリソソーム系とプロテアソーム系がプロテオームの加齢変化とどのように関わっているかについて研究を進め、さらに ② プロテオームの加齢変化の主要な特徴であった細胞外沈着物の形成機構と老化促進作用の解明に取り組んでいきます。
高杉 征樹助教
(医学研究科)
関連情報
2023年度 戦略的創造研究推進事業(さきがけ)の新規研究課題及び評価者について(JST Webサイト)
問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください
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