最新の研究成果
水滴の動きから降水量と風速を瞬時に同時計測できるセンサを開発-局地的な豪雨マップなどへの応用が期待-
2022年5月10日
- プレスリリース
- 工学研究科
<本研究のポイント>
◇水滴がセンサ表面にぶつかる際の動き(電気抵抗)を計測するセンサを開発。
◇データ分析に機械学習を用いることで降水量と風速を瞬時に同時計測することに成功。
◇軽量かつ柔軟性のあるセンサで安価での作製が可能なため局地的な豪雨マップなどへの応用が期待。
<概要>
大阪公立大学大学院 工学研究科の竹井 邦晴教授と東京大学 大学院情報理工学系研究科/同大学 次世代知能科学研究センターの中嶋 浩平准教授らの研究グループは、水滴がセンサの表面にぶつかる際に生じる電気抵抗を計測し、その分析に機械学習の一つである「リザバーコンピューティング※」を用いることで、水滴の降水量と風速を瞬時に同時計測できるセンサ(図1)を開発しました。
(※リザバーコンピューティング…機械学習の一種で、時系列情報処理を得意とした手法であり、本研究のような瞬時リアルタイム計測・予測に向いている。)
近年、世界各地で異常気象が発生しており、都市部に大きな被害をもたらすゲリラ豪雨への対策として、局地的な大雨や風を計測し、被害状況をリアルタイムで可視化することが求められています。
本研究では、水滴がぶつかる際に生じる電気抵抗を計測するセンサを開発しました。本センサは軽量で柔軟性があるため非平面上であっても設置することができるほか、レーダーなどの他の気象計測器に比べて安価に作製できるため、よりローカルなエリアへの設置が可能です。また、これまで気象情報を計測する場合、1つの情報の計測に対し1つの計測器が必要でしたが、今回、データの分析に機械学習を用いることで、水滴の「降水量」と「風速」の複数の情報を1つのセンサで瞬時に同時計測することに成功しました。
今後、センサの小型化や取得したデータの送受信などの課題をクリアすることで、傘や車、家の屋根などへの取り付けが可能となり、ゲリラ豪雨の降水量や風速の計測や豪雨マップなどによる被害状況のリアルタイムでの可視化など、豪雨災害から命を守る技術となることが期待されます。
本研究成果は、2022年5月5日(木)(日本時間)に国際学術誌「Advanced Materials」誌に掲載され、7月号の表紙に採択されました。
研究者からのコメント
1つのセンサで複数の情報を瞬時解析するセンサシステムを開発しました。このセンサプラットフォームは天気情報だけでなく、様々なIoT分野でシステムの簡易化や低消費電力化へとつながる重要な技術だと思っています。今後は、実用化を目指した産官学連携に向けた取り組みも積極的に行いたいです。
竹井 邦晴 教授
発表雑誌 |
Advanced Materials(IF=30.849) |
論文名 |
A Multi-Tasking Flexible Sensor via Reservoir Computing |
著者 |
Seiji Wakabayashi, Takayuki Arie, Seiji Akita, Kohei Nakajima, Kuniharu Takei |
論文URL |
研究内容に関する問合せ先
大阪公立大学大学院 工学研究科
教授 竹井 邦晴(たけい くにはる)
TEL:072-254-7619
Email:takei[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください。
取材に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
Email:koho-upco[at]list.osaka-cu.ac.jp [at]を@に変更してください。
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