最新の研究成果

ネナシカズラの寄生メカニズム 〜宿主への侵入システムの解明〜

2022年7月12日

  • プレスリリース
  • 農学研究科

発表のポイント

◇寄生植物*1であるネナシカズラは、「吸器」と呼ばれる器官を使って他の植物から栄養分や水を搾取します。
◇ネナシカズラが吸器を宿主体内へ侵入させるために必要な分解酵素群とその制御因子を明らかにしました。
◇吸器を侵入させるための、宿主の組織を分解するための装置は、植物の器官脱離(落実や落葉など、器官を切り離す現象)のシステムに由来する可能性を示しました。
◇本研究成果は、有効な駆除方法が確立されていないネナシカズラの農作物や環境被害に対する対策に繋がることが期待されます。


*1寄生植物:他の植物から栄養分を吸収して生育する植物のこと。被子植物では、進化の過程で10回以上も独立に出現し、その種類は22科4000種にも及ぶものと推定されています。

概要

ネナシカズラは他の植物から栄養分や水を搾取する寄生植物であり、宿主となる植物を選ばないことから、農作物や環境に甚大な被害をもたらしています。ネナシカズラの寄生には、吸器と呼ばれる器官を宿主体内へ侵入させることが必要ですが、そのしくみに関してはよくわかっていません。東北大学大学院生命科学研究科の横山隆亮講師らのグループは、吸器の侵入時に働く遺伝子を明らかにし、宿主への侵入システムの解明とその起源に迫りました。
本研究は、ネナシカズラの寄生のしくみを理解する上で重要な成果であり、農作物などへの被害に対する対策に繋がるものと期待されます。

press_220712

寄生植物ネナシカズラの宿主植物への侵入

本研究結果は、7月6日のFrontiers in Plant Science誌(電子版)に掲載されました。

謝辞

本研究は文部科学省科学研究費補助金(16H06279, 17K19374, 18H05489, 19H00944, 21K06235, 22K062740)からの支援を受けて行われました。

論文題目

Ryusuke Yokoyama, Toshiya Yokoyama, Takeshi Kuroha, Jihwan Park, Koh Aoki, Kazuhiko Nishitani. Regulatory modules involved in the degradation and modification of host cell walls during Cuscuta campestris invasion. Frontiers in Plant Science. 2022
doi: 10.3389/fpls.2022.904313

プレスリリース全文 (508.8KB)

研究に関する問い合わせ先

東北大学大学院生命科学研究科
講師 横山 隆亮 (よこやま りゅうすけ)
電話番号: 022-795-5607
Eメール: ryusuke.yokoyama.d6[at]tohoku.ac.jp  [at]を@に変更してください

大阪公立大学大学院農学研究科
教授 青木 考(あおき こう)
電話番号: 072-252-6384 
Eメール: kaoki[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

神奈川大学理学部生物科学科
教授 西谷 和彦(にしたに かずひこ)
Eメール: nishitani[at]kanagawa-u.ac.jp [at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr[at]grp.tohoku.ac.jp [at]を@に変更してください

該当するSDGs

  • SDGs02
  • SDGs15
  • SDGs17