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膝前十字靭帯再建の移植腱を大腿四頭筋腱と膝蓋腱で比較 大腿四頭筋腱の移植は、移植腱にかかる過剰な負荷のリスクが低い
2022年8月5日
- プレスリリース
- 医学研究科
本研究のポイント
◇膝前十字靭帯の大腿骨付着部と移植腱として大腿四頭筋腱と膝蓋腱の解剖学的特徴を比較
◇大腿四頭筋腱の方が膝蓋腱よりも膝前十字靭帯再建後移植腱にかかる過剰な負荷のリスクが低い可能性を示唆
概要
概要図:膝前十字靭帯再建後のCT画像
A:大腿四頭筋腱 B:膝蓋腱
赤色は大腿骨挿入部位における移植腱の曲げ角度、黄色両頭矢印は移植腱の折れ曲がり角度、黄色▲は骨栓を示します。大腿四頭筋腱は膝蓋腱よりも折れ曲がる角度が小さいので、大腿骨の移植腱挿入部位にかかる過剰な負荷のリスクが低い可能性を示唆しています。
大阪公立大学大学院医学研究科 整形外科学の木下 拓也大学院生(博士課程4年)、橋本 祐介講師、中村 博亮教授らの研究グループは、本研究で膝前十字靭帯の再建術時に移植腱として大腿四頭筋腱を用いた方が、膝蓋腱を用いた場合よりも移植腱の折れ曲がり角度が小さいことを発見しました。本研究成果は、膝前十字靭帯の再建術時に大腿四頭筋腱を用いた方が再建後の移植腱にかかる過剰な負荷のリスクが低い可能性を示唆しています。
膝前十字靭帯は、膝関節の中で大腿骨と脛骨をつないでいる靭帯です。膝前十字靭帯の損傷は、スポーツ外傷の中でも頻度が高く、自然治癒は困難であると言われています。膝前十字靭帯の再建では、解剖学的再建(靭帯の本来の付着部に新しい靭帯を再建する手術)によって術後成績が良好になることは以前から知られていましたが、移植腱間の解剖学的特徴の比較や移植腱の移植後の状態についてはこれまであまり研究が進んでいませんでした。
そこで本研究グループは、膝前十字靭帯の大腿骨付着部と、移植腱として大腿四頭筋腱、膝蓋腱に着目し、屍体膝20例を用いて組織学的にそれぞれの靱帯・腱について付着部幅・厚さと靭帯・腱の角度を計測しました。その結果、大腿四頭筋腱の方が膝蓋腱よりも付着部幅・厚さが大きく、さらに膝前十字靭帯再建後のCT画像により膝前移植腱の折れ曲がり角度が小さいことを発見しました(概要図参照)。
本研究の成果は、2022年8月1日に米科学誌「The American Journal of Sports Medicine」(IF = 7.010)のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
膝前十字靭帯再建後のCTで大腿骨骨孔に大腿四頭筋腱骨栓が綺麗に収まっているのを確認した時、大腿四頭筋腱の方が膝蓋腱よりも解剖学的な再建ができているのではと考え、本研究の着想に至りました。本研究が膝前十字靭帯再建の成績向上の一助になれば幸いです。
木下 拓也大学院生
掲載誌情報
雑誌名: |
The American Journal of Sports Medicine (IF = 7.010) |
論文名: |
ACL Graft Matching: Cadaver Comparison of Microscopic Anatomy of Quadriceps and Patellar Tendon Grafts and the Femoral ACL Insertion Site |
著者: |
Takuya Kinoshita, MD, Yusuke Hashimoto, MD, PhD, Ken Iida, MD, and Hiroaki Nakamura, MD, PhD |
掲載URL: |
研究内容に関する問合せ先
大阪公立大学大学院医学研究科整形外科学
担当:木下 拓也
TEL:06-6645-3851
取材に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:上嶋 健太
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
[at]を@に変更してください。
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