最新の研究成果
お隣の銀河で星の産声を捉えた!100億年前から星が誕生するメカニズムは変わらない!?
2022年8月26日
- プレスリリース
- 理学研究科
理学研究科の大西 利和 教授らの国際共同研究グループは、アルマ望遠鏡を使って、地球から19万年光年離れた小マゼラン雲に存在するY246という原始星(幼年期の星)を観測しました。その結果、星誕生の産声とされる双極分子流という現象を検出しました。
小マゼラン雲は、地球がある天の川銀河も属する局所銀河群の中でも、重元素量が非常に少ない銀河です。宇宙が誕生した頃は元素合成が現在よりも進んでいないため、重元素量が少ない環境を調べることは宇宙が誕生して間もない頃を調べることに相当します。小マゼラン雲は太陽系の1/5程度の重元素量で、約100億年前の宇宙の環境を残しています。
銀河系を初めとする現在の宇宙の原始星は、双極分子流を通して余分な回転の勢いを捨てることにより収縮して大人の星へ成長します。今回、約100億年前の宇宙の環境と類似している小マゼラン雲で双極分子流を検出できたということは、星の誕生メカニズムが100億年前と共通している証拠となります。
小マゼラン雲で双極分子流はこれまで見つかっていなかったため、検出できるかどうか不安でしたが、Y246原始星で見つけた時はまるで宝探しに成功したような感覚でした。今回の発見で得た経験を活かし、アルマ望遠鏡を始めとする観測データを用いて小マゼラン雲をさらに研究し、天文学の発展に貢献したいと思います。
大阪府立大学 生命環境科学域 理学類 4年生
國年 悠里
本研究成果は米国の雑誌「The Astrophysical Journal Letters」に2022年8月26日(金)に掲載されました。
論文情報
掲載誌 | The Astrophysical Journal Letters |
タイトル | The First Detection of a Protostellar CO Outflow in the Small Magellanic Cloud with ALMA |
著者名 | Kazuki Tokuda, Sarolta Zahorecz, Yuri Kunitoshi, Kosuke Higashino, Kei E. I. Tanaka, Ayu Konishi, Taisei Suzuki, Naoya Kitano, Naoto Harada, Takashi Shimonishi, Naslim Neelamkodan, Yasuo Fukui, Akiko Kawamura, Toshikazu Onishi and Masahiro N. Machida |
DOI | 10.3847/2041-8213/ac81c1 |
お問合せ先
<研究に関すること>
理学研究科 教授 大西 利和(おおにし としかず)
TEL:072-254-9727
Mail:tonishi[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください。
<報道に関すること>
大阪公立大学 広報課 國田(くにだ)
TEL:06-6605-3411
Mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください。
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