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耐腐食性・高活性・低コスト!パラジウム亜鉛の金属間化合物が持つ特性の仕組みを明らかに

2022年9月2日

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  • 工学研究科

パラジウム亜鉛
燃料電池等の電極触媒として注目されているパラジウムは高価な貴金属のため、亜鉛との合金化により触媒活性を維持・向上させながらパラジウムの含有率を下げる材料となることが期待されています。

本研究のポイント

◇アルカリ水溶液に浸漬後のi-PdZnの原子構造を明らかに

◇パラジウム亜鉛の金属間化合物※1(i-PdZn)は高い耐腐食性を示す

◇i-PdZnはパラジウムに比べて約5.1倍のエタノール酸化活性を示す

概要

大阪公立大学大学院 工学研究科 物質化学生命系専攻の井上 博史教授、樋口 栄次准教授、知久 昌信准教授らの研究グループは、等モルのパラジウム(Pd)原子と亜鉛(Zn)原子からなる金属間化合物(i-PdZn)が規則的に配列した原子構造を持つことを明らかにし、アルカリ水溶液に対して高い耐腐食性をもつことを解明しました。

パラジウム亜鉛の金属間化合物(i-PdZn)は、Pdとは異なる結晶構造をもち、銅に似た性質を持ちます。このため、i-PdZnは、高価なPdの含量を低減するだけでなく、Pdには見られない反応性や反応選択性を有することが期待され、様々な触媒としての応用が検討されています。

本研究では、Pd原子の半分がZn原子でランダムに置換された置換型パラジウム亜鉛合金※2(s-PdZn)ではPd原子とZn原子がランダムに配列しているのに対し、i-PdZnではPd原子とZn原子が隣り合い規則的に配列していることを明らかにしました(図1)。

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図1アルカリ水溶液に浸漬したときのi-PdZnとs-PdZnの構造変化

次に、i-PdZnとs-PdZnをアルカリ水溶液に浸したところ、s-PdZnでは、Zn原子の大半は数分間でアルカリ水溶液中に溶出してしまいますが、i-PdZnでは、隣り合ったPd原子とZn原子の規則的な配列が粒子内部のZn原子の溶出を効果的に防ぐため、i-PdZnはs-PdZnに比べてアルカリ水溶液に対する耐腐食性がはるかに高いことを解明しました。

さらに、i-PdZnは、シェルの形成により表面積が大きくなる効果に加え、コアの電子的な効果により、アルカリ水溶液中でエタノール酸化反応の触媒として用いた場合、Pdに比べて約5.1倍の面積比活性を示すことが明らかになりました。

本研究成果は、シュプリンガーネイチャー社が刊行する国際学術誌「Research on Chemical Intermediates」に、2022年7月23日にオンライン掲載されました。


<用語解説>

※1金属間化合物…2種類以上の金属元素から形成される化合物で、元の金属とは全く異なる結晶構造をもち、簡単な整数比の組成をもつ。
※2置換型合金…2種類の金属が合金化する際、元の金属のどちらかの構造を保持しながらもう一方の金属原子がランダムに置換・侵入した合金で、組成はある幅の中で可変である。

水素を貯蔵できるなど金属間化合物のユニークな性質はこれまでも知られていましたが、今回、アルカリ水溶液によく溶けることが知られているZnとPdの金属間化合物ではZnの溶解が大幅に抑制されることを明らかにしました。
この結果は、耐腐食性が課題となる非貴金属電極触媒の開発にもヒントとなるのではないかと考えています。

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井上 博史 教授

掲載紙情報

発表雑誌: Research on Chemical Intermediates
論 文 名: Activity and durability of intermetallic PdZn electrocatalyst for ethanol oxidation reaction
著     者: Nguyen Trung Kien, Kanaru Hashisake, Masanobu Chiku, Eiji Higuchi, Hiroshi Inoue
掲載URL: https://doi.org/10.1007/s11164-022-04780-z


プレスリリース全文 (899.6KB)

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 工学研究科
教授 井上 博史(いのうえ ひろし)
TEL:072-254-9283
E-mail:inoue-chem[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

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E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

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