最新の研究成果

リハビリテーション学×建築学  高齢患者に自宅見取り図を用いた転倒予防指導が有効であることを実証

2022年10月20日

  • プレスリリース
  • リハビリテーション学研究科

本研究のポイント

◇急性期病院から退院した高齢整形外科患者は転倒発生率が高く、再転倒予防の適切な指導を行うことが喫緊の課題

◇自宅訪問指導の代替手段として、退院時に自宅見取り図を用いた転倒予防指導を実施

◇転倒は2か月、ヒヤリハットは3か月の転倒予防効果を実証

概要

大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科の上田 哲也助教らの研究グループは、急性期病院に整形外科疾患で入院している転倒歴のある65歳以上の高齢者60名を対象に、一般的な運動療法のみのグループ30名(対照群)と、運動療法に加え退院時に自宅見取り図を用いた転倒予防指導を行ったグループ30名(介入群)にわけ、退院後の転倒およびヒヤリハットの発生について6か月間の追跡調査を行いました。
その結果、退院後2か月で対照群では7.7%転倒が発生しましたが介入群では発生しませんでした。ヒヤリハットは、3か月間で介入群が有意に少ない結果がみられました。それ以降は両群で有意差はみられませんでした。
転倒は健康寿命を短くする主要な要因です。超高齢社会が進む中、多忙かつ患者の入れ替わりが激しい急性期病院で広く採用しやすい転倒予防施策の確立が重要と考えられます。
本研究成果は、2022年9月4日「International Journal of Environmental Research and Public Health」に(オンライン)掲載されました。

病院での在院日数短縮が加速化している昨今の医療情勢において、十分に動作レベルが回復していない、いわゆる「転倒予備軍」の増加が見込まれており、退院患者さんに対して再転倒予防のための適切な指導を行うことが喫緊の課題になっています。

その中で、本研究では、退院時に、患者さんに描いてもらった自宅見取り図を用いて再転倒予防介入を行った結果、退院後早期では有用である可能性が示唆されました。急性期病院の退院指導として在宅支援の拡張的役割を果たす意味において、本研究は一定の見解が得られたものであると考えます。

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上田 哲也助教

研究者略歴

【学歴】
2007年 北里大学医療衛生学部卒業
2013年 大阪市立大学大学院生活科学研究科(居住環境学コース)前期博士課程修了
2018年 大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科博士後期課程修了

【職歴】
2007年4月-2019年3月 八尾徳洲会総合病院リハビリテーション科(主任)
2019年4月 大阪府立大学を経て2022年4月より現職。

リハビリテーション学と建築学の融合を果たす研究を行っている。

掲載紙情報

雑 誌 名: International Journal of Environmental Research and Public Health
論 文 名:

Fall Prevention Program Using Home Floor Plans in an Acute-Care Hospital:
A Preliminary Randomized Controlled Trial

著     者: Tetsuya Ueda, Yumi Higuchi, Tatsunori Murakami, Wataru Kozuki, Gentoku Hattori, Hiromi Nomura
掲載URL:  https://doi.org/10.3390/ijerph191711062 


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研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科
担当:助教 上田 哲也 (うえだ てつや)
TEL:072-950-2880
E-mail:ueda[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

取材に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

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