最新の研究成果
加熱式たばこユーザーに警鐘 加熱式たばこの使用が新型コロナウイルス感染&病態悪化のハイリスク要因に
2023年2月3日
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- 研究
ポイント
◇加熱式たばこの使用と新型コロナウイルス感染の関係に着目した初めての調査を実施
◇たばこ非使用者に比べ加熱式たばこの使用者(単独・燃焼式たばこの併用含む)の感染率が高く、中でも加熱式たばこと燃焼式たばこの併用者の感染は4.66倍(オッズ比)となった
◇新型コロナウイルス感染時に入院や酸素吸入などが必要となる病態悪化の割合は、加熱式たばこと燃焼式たばこの併用者が最も高くなることが明らかに
概要
大阪公立大学大学院医学研究科 呼吸器内科学の浅井 一久准教授、大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部の田淵 貴大部長補佐らの研究グループは、加熱式たばこの使用と新型コロナウイルス感染の関係に着目し、調査を実施しました。
加熱式たばこは、日本でも2014年から発売され2016年ごろから急速に普及してきました。煙や匂い、また健康被害が燃焼式たばこよりも少ないという期待感によりユーザーから加熱式たばこが選ばれていますが、長期的な健康への影響や新型コロナウイルス感染のリスクについてはこれまで明らかになっていませんでした。
今回の調査の結果、たばこ非使用者に比べ加熱式たばこ使用者(単独使用・燃焼式たばこの併用を含む)は新型コロナウイルス感染率が有意に高いこと、さらに全たばこ使用者の中でも加熱式たばこと燃焼式たばこの併用者は感染時の病態悪化(入院や酸素吸入)リスクが最も高いことを明らかにしました。燃焼式たばこ使用による新型コロナウイルス感染時の病態悪化リスクが高いことを改めて実証したことに加え、新たに加熱式たばこ使用が感染および感染時の病態悪化のリスク因子となることを示しました。
本研究成果は、2023年2月2日(木)に国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。
研究者からのコメント
加熱式たばこは燃焼式たばこより害が少ないと言われている、見た目が洗練されているなどの理由で若者を中心に流行していますが、その安全性は未だ明らかになっていません。今回、加熱式たばこの使用が新型コロナウイルス感染および病態悪化に影響する可能性があると示されました。本報告がコロナ禍におけるたばこ使用行動を考えるきっかけとなれば幸いです。
浅井 一久准教授
掲載誌情報
【雑誌名】 |
Scientific Reports |
【論 文 名】 |
Association of combustible cigarettes and heated tobacco products use with SARS-CoV-2 infection and severe COVID-19 in Japan: a JASTIS 2022 cross sectional study 「燃焼式たばこおよび加熱式たばこと新型コロナウイルス感染症(感染および悪化)の関係について:JASTIS 2022データを用いた横断研究」 |
【著 者】 |
Misako Nishimura, Kazuhisa Asai, Takahiro Tabuchi, Erika Toyokura, Takahiro Kawai, Atsushi Miyamoto, Tetsuya Watanabe, Tomoya Kawaguchi |
【掲載URL】 | https://doi.org/10.1038/s41598-023-28006-3 |
用語説明
オッズ比:ある事象の起こりやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度。本研究ではたばこ非使用者と各たばこの使用者を比較した値を示します。
研究に関する問い合わせ先
医学研究科 呼吸器内科学
准教授 浅井 一久(あさい かずひさ)
TEL:06-6645-3916
E-mail:kazuasai[at]omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
広報課 担当:田中
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。
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