最新の研究成果

若年者の外側円板状半月板損傷治療に光明 後節半月板の亜全摘は軟骨変性が最も進行 ~形成縫合術による半月板温存がカギ~ 

2023年2月8日

  • 医学研究科
  • プレスリリース
  • 研究

ポイント

◇外側円板状半月板損傷に対する半月板の形成縫合術と亜全摘手術の術式間比較を行い、術後の軟骨変性の違いについて検証

◇亜全摘手術の方が形成縫合術よりも軟骨変性が多く出現

◇特に後節半月板を亜全摘手術すると軟骨変性が進行

概要

大阪公立大学大学院医学研究科 整形外科学の橋本 祐介講師、中村 博亮教授らの研究グループは、外側円板状半月板損傷に対して、後節半月板を亜全摘手術した場合、術後の軟骨変性を最も進行させることを明らかにしました。
外側円板状半月板とは、半月板の通常の形態である三日月型ではなく、円板状の形をした外側半月板のことで、日本をはじめアジア系の人種に多いといわれています。
また、若年者の半月板損傷の多くは円板状半月板が原因であるともいわれています。これまでの治療として半月板の痛んでいる部分を亜全摘する手術方法が普及していましたが、近年では辺縁部を縫合する半月板温存手術が普及しはじめています。
本研究では、半月板の形成縫合術と亜全摘手術での術後の軟骨変性の違いについて比較したことで、亜全摘手術をした方が軟骨変性を進行させることを明らかにし、若年者であれば半月板の変性が少々強くても、縫合して半月板を温存する方が軟骨を保護できることを示しました。
本研究成果は、2023 年 1 月 3 日、国際学術誌「Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery」にオンライン掲載されました。

本邦でしばしばみられる外側円板状半月板損傷に対して過去は大きく切除することが多かったですが、我々はできるだけ温存する手術方法を行ってきました。その結果、半月板を温存する方法、特に後節を残存させることが膝機能を保ち、加齢的変化を進行させないために重要であることが分かりました。
今後は残存させる手術手技の普及をしていきたいと思います。

press_230207_hashimoto

橋本 祐介講師

 

掲載誌情報

【発表雑誌】Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery
【論 文 名】Posterior subtotal meniscectomy revealed the worst scenario for the progression of osteocartilaginous damage in cases of juvenile discoid lateral meniscus with peripheral tear.
【著  者】Yusuke Hashimoto, Kazuya Nishino, Shinya Yamasaki, Yohei Nishida,Tomohiro Tomihara,Hiroaki Nakamura.
【掲載URL】https://doi.org/10.1007/s00402-022-04747-0

プレスリリース全文 (477.6KB)

研究に関する問い合わせ先

医学研究科 整形外科学
担当:講師 橋本 祐介
TEL:06-6645-3851
E-mail:hussyyomu[at]omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課 担当:久保
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03