最新の研究成果

肝線維化進展の抑制には『日本食』が有効か ~大豆製品、魚介類、海藻類の摂取が重要~

2023年3月9日

  • プレスリリース
  • 医学研究科

ポイント

◇非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者において、12の食品・食品群を含む日本食パターンの摂取量から計算される『日本食スコア1』が高いグループは、肝線維化進展度が抑制的。
◇12の食品・食品群の中でも大豆製品、魚介類、海藻類の摂取量が肝線維化進展度に抑制的に関与。
◇大豆製品の摂取量が多いグループは筋肉量が多く、筋肉量が多いグループは肝線維化進展が抑制的。

概要

大阪公立大学大学院 生活科学研究科 松本 佳也准教授、医学研究科 藤井 英樹講師らの研究グループは、NAFLD患者136名において、食事、筋肉量、肝線維化進展度の関連性を解析した結果、12の食品・食品群の摂取量から計算される日本食スコアが高いグループは、肝線維化進展度が抑制的であることを明らかにしました。さらに、日本食パターンの中でも大豆製品、魚介類、海藻類の摂取量が多いグループは、肝線維化進展度が抑制的であることが明らかとなりました。また、大豆製品の摂取量が多いグループは筋肉量が多く、筋肉量が多いグループは肝線維化進展度が抑制的であることもわかりました。
本研究により、NAFLD患者の食事療法の1つとして日本食パターンが有効である可能性が見出され、今後さらなる介入調査を進めることで、有効な食事療法の確立に繋がることが期待されます。本研究成果は、2023年2月26日(日)に国際学術誌「Nutrients」にオンライン掲載されました。

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本研究で明らかとなった食事、筋肉量、肝線維化進展の関係

これまでわが国において、NAFLDに対する食事療法で有効な候補はありませんでした。今回「日本食パターン」がNAFLDの治療に有効である可能性が示されました。介入研究によるさらなるデータ検証が必要ですが、NAFLD患者の食事療法の1つの選択肢としてお考えいただくと良いと思います。

生活科学部食栄養学科 栄養診療学研究室https://www.omu.ac.jp/life/nutrimedsci/

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松本 佳也准教授

 

掲載誌情報

【発表雑誌】Nutrients
【論 文 名】Severity of Liver Fibrosis Is Associated with the Japanese Diet Pattern and Skeletal Muscle Mass in Patients with Nonalcoholic Fatty Liver Disease
【著  者】Yoshinari Matsumoto, Hideki Fujii, Mika Harima, Haruna Okamura, Yoshimi Yukawa-Muto, Naoshi Odagiri, Hiroyuki Motoyama, Kohei Kotani, Ritsuzo Kozuka, Etsushi Kawamura, Atsushi Hagihara, Sawako Uchida-Kobayashi,  Masaru Enomoto, Yoko Yasui, Daiki Habu and Norifumi Kawada
【掲載URL】https://doi.org/10.3390/nu15051175
プレスリリース全文 (473.3KB)

用語解説

※1 日本食スコア(mJDI12:12-component modified Japanese Diet Index)
日本食スコアにはいくつか種類があり、mJDI12 は Zhang らが定義した指標です。ごはん、味噌汁、漬物、大豆製品、緑黄色野菜、果物、魚介類、きのこ類、海藻類、緑茶、コーヒー、牛・豚肉の12食品・食品群を含む日本食パターンの摂取量に着目したスコアを意味します。コーヒーと牛・豚肉以外の食品・食品群は、男女別の摂取量の中央値以上であれば1点とし、中央値未満であれば0点とします。コーヒーと牛・豚肉の摂取量は中央値未満であれば1点とします。スコアは合計0~12点で、スコアが高いほど日本食パターンに準じた食事を摂っていると評価します。

研究内容に関する問い合わせ先

医学研究科 肝胆膵病態内科学
講師:藤井 英樹(ふじい ひでき)
TEL:06-6645-3905
E-mail:rolahideki[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課 担当:久保
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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