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アラインを用いた不斉合成に関する総説論文を発表 ~多くの可能性を秘めた未開拓の分野を拓く~

2023年4月10日

  • プレスリリース
  • 理学研究科

本研究のポイント

2001年、2021年ノーベル化学賞受賞の「不斉合成」に関連する重要技術
◇合成中間体「アライン」を用いた不斉反応を様式ごとに詳述
◇複雑で多様な生理活性化合物合成を効率化し、医薬品や材料の開発に役立つ可能性

概要

ベンゼン環の一部が三重結合になった合成中間体「アライン」は、さまざまな有機分子変換に応用されており、非常に有用な化合物として長年、化学者の関心を集めてきました。さらにアライン化学の進展に伴い、複雑な立体構造を持つ化合物の合成効率を高め、新規化合物の創製を容易化が期待できるアラインの「不斉合成」反応の開発が注目されるようになりました。しかしながら、短寿命かつ不安定な構造をとるアラインを用いた不斉合成の開発には多くの課題があり、アラインの高い立体選択性が実現できる不斉反応の開発が待ち望まれています。

大阪公立大学大学院理学研究科の神川 憲教授は、アラインを用いた数々の不斉反応について、様式ごとに整理し、概要や特徴を詳述する総説論文を執筆しました。本分野における未解決課題や将来への展望についても解説しています。この総説論文は2023年3月31日、国際学術誌「Nature Reviews Chemistry」にオンライン掲載されました。


アラインを用いた不斉合成は、多くの可能性を秘めた未開拓の分野です。今後、多くの研究者がこの分野に参入し、それぞれの専門性や創造性を発揮することで、医薬品や材料などの開発に役立つ不斉合成の可能性を大きく広げることに繋がります。本総説はその一助になれば幸いです。

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神川 憲 教授



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図:触媒的不斉α-アリール化反応により生成物に含まれる中心不斉を制御した例(青色)と、触媒的不斉環化反応によりヘリセン(らせん状に芳香環が連結した分子)のらせん不斉を制御した例(赤色)。
*は不斉要素を表す。反応場となる遷移金属触媒に不斉要素を持った配位子が配位することで不斉環境をもつ反応場が構築され、その不斉の影響を受けて右手型分子が選択的に合成できたり、その逆が起こったりする。

用語解説

※不斉合成:右手と左手の関係にある分子(鏡像異性体)のうち、一方を選択的に化学合成すること。これらは化学反応性や物性がほぼ等しいため、作り分けることは一般には困難である。また不斉合成を可能にする反応を不斉反応、もしくは不斉合成反応という。

資金情報

科学研究費補助金 基盤研究B「アライン中間体を活用した非中心不斉化合物の触媒的不斉合成」

掲載紙情報

発表雑誌: Nature Reviews Chemistry(IF=34.571)
論 文 名:

Asymmetric reactions involving aryne intermediates

著     者: Ken Kamikawa
掲載URL: https://doi.org/10.1038/s41570-023-00485-y



プレスリリース全文 (427.3KB)

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 理学研究科
教授:神川 憲(かみかわ けん)

TEL:072-254-9721
E-mail:kamikawa[at]omu.ac.jp
[at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

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