最新の研究成果

日本人・中国人のコミュニケーションスタイルを解明 会話時にスタイルを切り替えることが明らかに!

2023年4月11日

  • プレスリリース
  • 文学研究科

ポイント

◇東洋人は高コンテクスト文化1とされているが、日本人・中国人では、お互い相手国の人とコミュニケーションを取る際、低コンテクスト 文化2にコードスイッチング3をしている。
◇日本人は日本で生活している中国人留学生に対しては、高コンテクスト文化スタイルのままである。
◇低コンテクスト文化は異文化交流が盛んな環境で形成されやすいことを示唆。

概要

人々がコミュニケーションを行う場合は、話し手と聞き手が共有する情報であるコンテクストを利用します。このコンテクストの依存度には文化差があると考えられ、西洋人は依存度が低い『低コンテクスト文化』、東洋人は依存度が高い『高コンテクスト文化』とされてきました。
大阪公立大学大学院 文学研究科 呉 長憶大学院生と山 祐嗣教授の研究グループは、高コンテクスト文化とされている日本人および中国人は、相手国の人とコミュニケーションを取る際、高コンテクスト文化から低コンテクスト文化にコードスイッチングしていることを明らかにしました。さらに、日本人は、日本で生活している中国人留学生に対しては、コードスイッチングをあまり行わないことも明らかとなりました。

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コードスイッチングの例
(コンテクストを共有していない相手には低コンテクスト文化スタイルをとる)

本研究により、人々が異文化間コミュニケーションを行う際は、低コンテクスト文化である可能性が高いことが示唆されたと同時に、低コンテクスト文化は異文化交流が多い環境で形成されやすいことも示唆されました。
本研究成果は、2023年3月27日(月)、国際学術誌「Global Networks」にオンライン掲載されました。

私が上海の会社で働いていた時、同僚たちが物事の背景をよく把握できていない状況でコミュニケーションを取ると、よく誤解が起きることに気が付き、本研究に取り組みました。
コンテクストへの依存は特に異文化交流において非常に重要であると考えています。本研究成果は、異文化交流が多い環境では、互いの常識の共有が困難なため、誤解を避けるために低コンテクスト文化が形成されやすいことを示唆しています。

press_0411_02長憶(ゴ チョウイ)大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】Global Networks
【論 文 名】How do Japanese and Chinese view each other? Understanding the meaning of low-context culture in intercultural communication.
【著  者】Changyi Wu, Hiroshi Yama, Norhayati Zakaria
【掲載URL】https://doi.org/10.1111/glob.12440
プレスリリース全文 (439.1KB)

資金情報

本研究は、日本学術振興会科学研究費(No. 18K03010)の支援を受けて実施されました。

用語解説

※1高コンテクスト文化:コンテクストとは、人々がコミュニケーションを行う際に、話し手と聞き手が共有する情報のことを指す。高コンテクスト文化とは、コンテクストへの依存度が高い文化(Hall,1976)。

※2低コンテクスト文化:人々がコミュニケーションする際に、コンテクストへの依存度が低い文化(Hall,1976)。

※3コードスイッチング:人々が異なるコミュニケーションスタイルに対応する際の適応行動として、高コンテクスト文化コミュニケーションスタイルから低コンテクスト文化コミュニケーションスタイルに、またはその逆の行動に変換すること(Zakaria,2017)。

研究内容に関する問い合わせ先

文学研究科 教授 山 祐嗣
TEL:06-6605-2377
E-mail:yama.hiroshi1204[at]gmail.com
※[at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

広報課 担当:久保
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。