最新の研究成果
世界初! 「謎の化学種」アニオン性白金0価の分子構造を解析 ~革新的な触媒反応の開発に繋がる成果~
2023年4月12日
- 理学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇アニオン性10族※1白金0価種の分子構造解析。
◇ホウ素化合物の電子受容能に注目し非常に不安定なアニオン性白金0価種安定化に成功。
概要
大阪公立大学大学院理学研究科 亀尾 肇准教授、松坂 裕之教授らの研究グループは、Paul Sabatier University-Toulouse III の Didier Bourrisou CNRS 主任研究員らのグループと共同で、アニオン性10族白金0価種の分子構造を世界に先駆けて明らかにしました。成功の鍵は、電子を供与しやすい性質(=高い求核性)のため不安定なアニオン性白金0価種を、ボラン化合物※2の電子受容性により安定化したことにあります。
本研究成果は、高活性化学種の性質および機能の解明を可能にするだけでなく、その創製方法に新しい指針を与えます。さらには、この化学種を鍵とする革新的な触媒反応の開発にも繋がるものと期待されます。
イメージ図
本研究成果は、国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」に、2023年2月22日にオンライン掲載され、注目論文(Hot Paper)に選出されました。
多様な触媒作用を示す白金錯体はこれまで盛んに研究されてきましたが、アニオン性白金0価錯体は謎だらけの化学種でした。今回、ボラン化合物が 10 族金属に対して相応の電子受容 性を示すことからその性質に注目し、高活性 "アニオン性白金 0 価種" の安定化と構造解析を世界で初めて実現しました。
亀尾 准教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Angewandte Chemie International Edition
【論 文 名】Square-Planar Anionic Pt(0) Complexes
【著 者】Hajime Kameo, Yudai Tanaka, Yoshihiro Shimoyama, Daisuke Izumi, Hiroyuki Matsuzaka, Yumiko Nakajima, Pierre Lavedan, Arnaud Le Gac, Didier Bourissou
【掲載URL】https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/anie.202301509
資金情報
本研究は、科研費基盤研究(B) (課題番号: 21H01953)、基盤研究(C) (課題番号: 21K05088)、挑戦的研究(萌芽) (課題番号: 21H18987)、公益財団法人池谷科学技術振興財団の支援の下で実施されました。
用語解説
※1 10族金属:周期表において第10族に属する元素であり、ニッケル、パラジウム、白金が含まれる。
※2 ボラン化合物:一般にホウ素周りに3つの共有結合と1つの空軌道を有する化合物。この空軌道のために電子を受容する能力を有する。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院 理学研究科
准教授:亀尾 肇(かめお はじめ)
TEL:072-254-9887
E-mail:h.kameo[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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