最新の研究成果

ちょっとしたプレゼントの社会的機能を検証~人はなぜ些細な贈与をするのか~

2023年5月29日

  • プレスリリース
  • 現代システム科学研究科

ポイント

◇贈与という行為は、支払ったコストを上回る利益につながる時に行われるものとされてきたが、そのような利益につながらない、些細な贈与(※)が日常的に行われていることに着目。

◇些細な贈与がどのような社会的機能を持っているのかを経済ゲームを使って検証。
◇パートナーと将来的に協力する機会がある場合に、相手に信頼してもらうためのアピールとして行われている可能性を指摘した。

(※)些細な贈与:隣人と食べ物を共有することや友人とのプレゼント交換、引越しで渡す粗品、職場でのお菓子配りなど、古くから日常で広く観察されている行動

概要

大阪公立大学大学院 現代システム科学研究科 河村 悠太准教授らの研究グループは、些細な贈与という振る舞いが、どのような機能を持ち、どのような条件下で行われているかについて実証実験を行いました。その結果、贈与する対象者が、協力関係を将来的にも持続するパートナーの場合と、そうではない場合では、些細な贈与が行われる頻度の差がみられ、些細な贈与が自分の信頼性を示すためのシグナルとして用いられている可能性があることを明らかにしました。

本研究成果は、The Human Behavior and Evolution Societyが刊行する国際学術誌「Evolution and Human Behavior」に2023420日にオンライン掲載されました。

実験概要

実験の概要

日常的に観察される些細な贈与という振る舞いにどのような機能があるかを考えること、そして想定される機能をどのような形で実証的に研究できるのかを考えることが楽しかったです。今後は、現実社会の複雑さを組み入れた実験を行うことも想定しています。

河村 悠太 准教授

河村 悠太准教授

資金情報

本研究は、日本学術振興会特別研究員奨励費(19J00352)および若手研究 (22K13794) の支援を受けて実施されました。

掲載誌情報

【発表雑誌】Evolution and Human Behavior
【論文名】Trivial giving as a signal of trustworthiness

【著者】Yuta Kawamura, Misato Inaba

【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.evolhumbehav.2023.04.001

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 現代システム科学研究科
准教授 河村 悠太(かわむら ゆうた)
E-mail:ykawamura[at]omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください

該当するSDGs

  • SDGs04