最新の研究成果

AIが心機能と心臓弁膜症を推定 胸部レントゲンを使用した高精度モデルの開発に成功

2023年7月7日

  • プレスリリース
  • 医学研究科

ポイント

◇複数施設から収集した22,551件のデータをAIモデルの訓練・検証に利用
◇心臓エコー検査結果を正解として、AIモデルによる心機能の評価、心臓弁膜症の分類のAUC※1は、ほぼ全ての指標で0.85を超える高い精度
◇心臓エコー検査が困難な状況下での活用に期待

概要

大阪公立大学大学院 医学研究科放射線診断学・IVR学の植田 大樹研究員、三木 幸雄教授らの研究グループは、AIを活用して一般的な胸部レントゲン画像から心機能の評価や心臓弁膜症の分類を高精度で推定するモデルの開発に成功しました。

本研究グループは、2013年から2021年までの間に4施設から胸部レントゲン画像22,551枚と心臓エコー検査結果22,551回のデータを収集し、3施設でAIモデルの訓練と内部検証、1施設で外部検証を実施しました。その結果、AIモデルの推定したAUCは、心機能評価において重要な指標である左室駆出率※2(カットオフ40%)で0.92、心臓弁膜症の6分類は、0.83~0.92といずれも高い精度を示しました。

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心臓弁膜症は高齢者に多い心臓疾患であり、高齢化社会においてその患者数は年々増加することが予想されます。本研究成果は、医師による診断の効率化に加え、専門医がいない地域や夜間救急外来、心臓エコー検査が困難な患者等への活用も期待されます。

本研究の成果は、2023年7月7日(金)に国際学術誌「The Lancet Digital Health」にオンライン掲載されました。

多施設で多くの医師、研究者、技術者の方々に関わっていただき、ようやく世に出すことができ、感謝の思いで一杯です。大変時間がかかりましたが、重要な研究になったと思います。
今後もAIと医学の融合で新たな価値を探っていきたいと存じます。

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植田 大樹 研究員

掲載誌情報

【発表雑誌】 The Lancet Digital Health 
【論文名】

Artificial intelligence-based model to classify cardiac functions from chest radiographs:

a multi-institutional, retrospective model development and validation study

【著者】

Daiju Ueda, Toshimasa Matsumoto, Shoichi Ehara, Akira Yamamoto, Shannon Leigh Walston,

Asahiro Ito, Taro Shimono, Masatsugu Shiba, Tohru Takeshita, Daiju Fukuda, Yukio Miki

【DOI】 https://doi.org/10.1016/S2589-7500(23)00107-3
【掲載URL】 https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(23)00107-3/fulltext

リリース全文 (504.4KB)

用語解説

※1 AUC (Area under the curve):AIモデルの能力を示す評価指標。0〜1の値を取り、1に近づくほど良い。

※2 左室駆出率:心臓の拍出量の指標。拍出の周期のうち左室の最大時と最小時の比率。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 医学研究科
放射線診断学・IVR学
担当:植田 大樹(うえだ だいじゅ)
TEL:06-6645-3831
E-mail:ai.labo.ocu[at]gmail.com
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:田中
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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