最新の研究成果
究極の省エネ材料実現に向けたカーボンナノ材料のさらなる機能化! 圧力に応答した伝導性・弾性・電子特性の同時スイッチングに成功 ~「Supplementary journal cover」へも選出~
2023年7月13日
- 理学研究科
- 工学研究科
持続可能な社会実現に向け、ありふれた元素からなるカーボン材料を活用した機能性マテリアル、特に「電流がロスなく流れる」という究極の省エネ材料であるカーボン超伝導体の研究は近年多くの関心を集めています。中でも、炭素60個のみからなるフラーレンC60は分子材料の中で最も優れた超伝導特性を示すことから、さらなる機能化が望まれています。
工学研究科の芳鐘 順也大学院生(大阪府立大学大学院 博士後期課程3年)、松井 圭佑大学院生(大阪公立大学大学院 博士後期課程2年)、理学研究科のKosmas Prassides客員研究員らと、北京高圧科学研究センター、理化学研究所、台湾国立放射光研究センター、ギリシャアリストテレス大学らの共同研究グループは、大型放射光施設SPring-8において放射光X線回折測定とX線吸収分光法を用いることで、大気圧の一万倍以上の高圧下でのフラーレンカーボンナノ材料の結晶・電子構造の観測に成功しました。その結果、「伝導特性変化(絶縁体-金属)と弾性・C60の電荷状態が同時に切り替わる」というこれまで分子性材料で確認されたことのない協奏的な現象発現とそのメカニズムを明らかにしました。
本成果は、ナノカーボン材料の新たな機能性発見のみでなく、超伝導特性をさらに引き上げる材料設計指針の確立に一歩近づくことが期待されます。
本研究成果は、2023年5月22日にアメリカ化学会が出版する国際学術誌「The Journal of Physical Chemistry C」へ掲載され、「Supplementary journal cover」に選出されました。
掲載誌情報
【発表雑誌】The Journal of Physical Chemistry C
【論文名】Isosymmetric Lattice Collapse in Mixed-Valence Rare-Earth Fullerides at High Pressure─Coupling of Lattice and Electronic Degrees of Freedom
【著者】Naoya Yoshikane, Keisuke Matsui, Takeshi Nakagawa, Hitoshi Yamaoka, Nozomu Hiraoka, Hirofumi Ishii, John Arvanitidis, and Kosmas Prassides*
【掲載URL】https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpcc.3c01626
資金情報
本研究は、高輝度光科学研究センターSPring-8、日本学術振興会JSPS科研費(JP18K18724、JP19H04590、JP21H01907、JP22K18693)、村田学術振興財団、泉科学技術振興財団、大阪府立大学科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業(JPMJSP2139)、大阪公立大学次世代研究者挑戦的研究プログラムリゾーム型研究人材育成プログラム(JPMJFS2138)からの支援を受けて行われました。
問い合わせ先
理学研究科
客員研究員 Kosmas Prassides(コスマス プラシデス)
E-mail:k.prassides[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
該当するSDGs