最新の研究成果

東南アジアのショウガに抗がん効果を確認! ~新たな抗がんマーカー発見の可能性も~

2023年7月25日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇ショウガ科の熱帯植物 Kencur(ケンチュール)の抗がん効果を検証。
◇細胞実験・動物実験で、ともにがん細胞の増殖抑制を確認。
◇食品成分による抗がん作用メカニズムに新たな知見。

概要

大阪公立大学大学院生活科学研究科の佐々木 裕太郎大学院生(博士後期課程1年)、小島 明子准教授らの研究グループは、主に東南アジアで栽培され、スパイスや漢方薬として使用されているショウガ科の熱帯植物 Kencur(ケンチュール)の抗がん効果について、細胞実験と動物実験で検証し、Kencur抽出物およびその主要活性成分が、細胞レベル・動物レベルでがん細胞の増殖を有意に抑制することを明らかにしました。さらに、その作用メカニズムにおいて、ミトコンドリア転写因子A(TFAM)遺伝子の関与が確認できました。TFAM遺伝子ががん細胞の増殖に重要な役割を果たしていることはこれまでの研究ですでに知られていましたが、食品成分によるTFAM遺伝子の抗がん効果への関与については解明されていませんでした。本研究成果は、Kencurの抗がん作用を明らかにするだけでなく、TFAM遺伝子が抗がん効果の新しいマーカーとなる可能性も示唆するものです。

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Kencur

(学名:Kaempferia galanga L.

本研究成果は、2023年6月23日に国際学術誌「Heliyon」にオンライン掲載されました。

抗がん効果を有する食品成分を見いだすことで、がんの予防に少しでも貢献できればと思っています。今後も食品成分がもつ生活習慣病の予防効果と、その作用メカニズムについての研究を継続していきます。

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佐々木大学院生(左) 小島准教授(右)

 

掲載誌情報

【発表雑誌】Heliyon
【論 文 名】Kaempferia galanga L. extract and its main component, ethyl p-methoxycinnamate, inhibit the proliferation of Ehrlich ascites tumor cells by suppressing TFAM expression
【著  者】Yutaro Sasaki, Toshio Norikura, Isao Matsui-Yuasa, Ritsuko Fujii, Leenawaty Limantara, Akiko Kojima-Yuasa
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2023.e17588

プレスリリース全文 (672KB)

資金情報

本研究は、科研費15K00832の支援を受けて行われました。

用語解説

※TFAM遺伝子(ミトコンドリア転写因子A):ミトコンドリアDNAの遺伝子発現を安定化する作用と、本研究で明らかとなった細胞周期調節因子の発現を制御する作用を有する。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 生活科学研究科
准教授:小島 明子(こじま あきこ)
TEL:06-6605-2865
E-mail:kojima-yuasa[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp  ※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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