最新の研究成果

~HPVワクチン接種行動および満足度の調査~ 子宮頸がんや性感染症に関する正しい知識が満足度のカギ

2023年12月7日

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  • 看護学研究科
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取り組みのポイント

◇20歳~24歳の女子大学生に対するHPVワクチン接種行動に対する意識調査を実施

◇セクシュアリティに関する認識・行動を含めたアンケートを実施

◇医療従事者や教育関係者による情報提供や意思決定支援の重要性を示唆

概要

日本におけるHPVワクチンは20134月に定期接種になり、副反応の報告により数か月で積極的勧奨が中止されました。そのため、日本の接種率は諸外国よりもかなり低水準()となっています。しかし中止による子宮頸がん発症・死亡率の増加が明らかとなり20224月から積極的勧奨が再開されています。(※厚生労働省「定期の予防接種実施者数」(2019):日本1.9%、アメリカ49%、イギリス82%)

大阪公立大学 看護学研究科 髙 知恵講師らの研究グループは、積極的勧奨が中止された間に接種対象年齢となっていた女子大学生に対して、2021年4月~7月にHPVワクチン接種行動に対する意識とワクチン接種への満足度調査を実施(有効回答252名)しました。
分析の結果、保護者の推奨ワクチン接種の話題副反応への心配が少ないことがワクチン接種行動に影響していることがわかりました。また、HPVや子宮頸がんに関する知識自分は性感染症にはかかりにくいという自己認識等がワクチン接種行動決定の満足度に関連する要因になることがわかりました。
hpv

本研究により、ワクチン接種対象者及び保護者へワクチンの正しい理解促進、さらに性的アクティビティが活発化する若年女性に対して子宮頸がんやワクチン、性感染症予防に関する正しい知識の醸成支援が重要であることが示唆されました。

本研究成果は、2023年11月16日に英文医学総合ジャーナル「JMA Journal」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

HPVワクチンは、子宮頸がんを予防できる唯一のワクチンです。妊孕世代にある若い女性に多い子宮頸がんの予防には、HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診が重要です。HPV感染は自身のセクシュアリティに密接に関係する非常にプライベートな問題ではありますが、正しい知識と自身の意思決定のもと、ワクチン接種有無について検討することが重要だと考えます。医療従事者からの、接種対象者やその保護者に対する正確な情報提供、知識醸成の支援は健康増進に向けた重要な課題と考えます。

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 知恵講師

 

掲載誌情報

雑誌名  :

JMA Journal
論 文 名: Factors related to satisfaction with decision-making regarding HPV vaccination behavior among female university students in Japan
著     者:

Chie Koh, Kaori Watanabe, Minako Saho, Yukari Nakajima, Miho Furuyama,

Kanako Yamada, Yuitirou Nakai
掲載URL: https://www.jmaj.jp/detail.php?id=10.31662%2Fjmaj.2022-0214


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研究に関する問い合わせ先

看護学研究科
講師:髙 知恵
TEL072-950-2801
E-mailkohchie[at]omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。

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