最新の研究成果
宇宙から降り注ぐ大量の宇宙線「空気シャワー」の可視化に成功!
2023年10月12日
- 理学研究科
- プレスリリース
本研究のポイント
◇すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラによって「空気シャワー」の可視化に成功
◇「空気シャワー」のさらなる理解や暗黒物質(ダークマター)の探査につながる可能性
概要
宇宙から降り注いでいる高エネルギーの粒子(宇宙線)は、地球大気に入射すると大量の高エネルギー粒子群(空気シャワー)となって地表に到来しています。大阪公立大学大学院 理学研究科および南部陽一郎物理学研究所の藤井 俊博准教授、Fraser Bradfield 大学院生、国立天文台ハワイ観測所の川野元 聡特任研究員、小池 美知太郎研究技師、宮崎 聡教授、千葉工業大学惑星探査研究センターの諸隈 智貴主席研究員、法政大学理工学部創生科学科の小宮山 裕教授らの研究グループは、ハワイのマウナケア山頂域に設置されたすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラが、空気シャワーを非常に高い位置分解能で可視化できていることを発見しました(図)。
天体観測を進めているすばる望遠鏡にとってはノイズとなる宇宙線ですが、本研究ではその「ノイズ」に着目。2014年から2020年までの間に撮影された約17,000枚の画像を解析したところ、そのうちの13枚に通常の飛跡数を大きく超える空気シャワーを検出できていることが確認されました。
この検出手法を発展させることで、空気シャワーのさらなる理解や暗黒物質(ダークマター)の探査、物質優勢の宇宙の解明につながる可能性も考えられています。
本研究成果はSpringer Nature社の国際学術誌「Scientific Reports」に2023年10月12日にオンライン掲載されました。
図:すばる望遠鏡で可視化された高エネルギー粒子群(空気シャワー)※国立天文台提供
空気シャワーの粒子がこれほど詳細に見えたことは、宇宙線研究の新たな方法を拓く可能性があり、とても興味深く感じています。
本研究は、異分野との共同研究の重要性と「捨てる神あれば拾う神あり」を証明しています。将来的には、本研究の新しい観測手法と伝統的な観測手法の特徴を活かし、宇宙線の解明に重要な質量組成(粒子種)を決定したいです。
Fraser Bradfield大学院生
資金情報
本研究の一部は、科学研究費助成事業(科研費)学術変革領域(A)20H05852、20H0585、基盤研究(A)20H00181、国際共同研究加速基金(国際先導研究)22K21349、JST科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業JPMJFS2138の支援を受けて行われました。
掲載紙情報
発表雑誌: | Scientific Reports |
論 文 名: |
Observing Cosmic-Ray Extensive Air Showers with a Silicon Imaging Detector |
著 者: | Satoshi Kawanomoto, Michitaro Koike, Fraser Bradfield, Toshihiro Fujii, Yutaka Komiyama, Satoshi Miyazaki, Tomoki Morokuma, Hitoshi Murayama, Masamune Oguri, Tsuyoshi Terai |
掲載URL: | https://www.nature.com/articles/s41598-023-42164-4 |
関連:国立天文台 すばる望遠鏡Webサイト
https://subarutelescope.org/jp/results/2023/10/11/3309.html
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院 理学研究科
准教授:藤井 俊博(ふじい としひろ)
TEL:06-6605-2540
E-mail:toshi[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください
すばる望遠鏡に関する問い合わせ先
国立天文台ハワイ観測所
担当:石井(いしい)
E-mail:ishii.miki[at]nao.ac.jp [at]を@に変更してください
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください
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