最新の研究成果
ICUに入院した重症新型コロナウイルス感染症患者に対する早期リハビリテーションの有用性を実証
2023年10月17日
- プレスリリース
- 医学研究科
ポイント
◇未曾有の感染症に対する、ICUでの早期リハビリテーション介入の貴重な事例報告。
◇早期にリハビリテーションを開始することで、座位達成率や筋力等で有意な効果を確認。
◇事前学習や個人防護服着用等のマニュアルを順守することで、リハビリテーション スタッフへの二次感染や医療事故の発生を防止。
概要
大阪公立大学大学院医学研究科 整形外科学 池渕 充彦講師らの研究グループは、ICUで挿管呼吸管理下の重症新型コロナウイルス感染症患者に対する早期リハビリテーションを実施し、機械学習を用いた因子評価によりその効果の有用性を実証しました。
本研究では、2021年4月から6月に大阪公立大学(当時大阪市立大学)医学部附属病院に新型コロナウイルス感染症の重症患者として入院した57名のうち34名に、覚醒レベルに応じた呼吸練習、関節可動域練習、筋力強化練習などの早期リハビリテーションを実施し、リハビリテーション介入群と非介入群の活動性を調査して比較しました。その結果、リハビリテーション介入群は非介入群に比べ、活動性の指標である座位や立位の達成数、IMSにおいていずれも有意な効果を実証しました。さらに、懸念されていたリハビリテーションスタッフへの二次感染や防護服破損、人工呼吸器閉鎖回路の破綻等の医療事故はありませんでした。
コロナ禍における当院の重症病棟
本研究成果は、2023年9月13日に英文医学誌「Progress in Rehabilitation Medicine」にオンライン掲載されました。
新型コロナウイルス感染症は、その感染力からリハビリテーションの介入に躊躇してしまう疾患の一つです。この疾患はADL(日常生活における活動性)を大きく下げることでも知られています。我々は2021年春に、重症新型コロナウイルス感染症患者に対し早期リハビリテーション介入を行う決断をしました。救命救急リハビリテーションの経験が豊富なベテランスタッフが十分に感染対策を行いながら担当し、二次感染することなく、患者さまに貢献できたことを誇りに思います。
池渕 充彦講師
掲載誌情報
【発表雑誌】 | Progress in Rehabilitation Medicine |
【論文名】 |
Efficacy of Early Rehabilitation for Severe Coronavirus Disease 2019 Pneumonia: |
【著者】 |
Mitsuhiko Ikebuchi,Yoichi Ohta,Yukihide Minoda,Akiko Toki, Tamotsu Nakatsuchi, |
【DOI】 | https://doi.org/10.2490/prm.20230027 |
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院 医学研究科
整形外科学/リハビリテーション科
講師 池渕 充彦(いけぶち みつひこ)
TEL:06-6646-3851
E-mail:s21841j[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:田中
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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