最新の研究成果
-事前学習ツールとしての活用も期待- VRによるリアルタイム臨床実習の効果を検証
2023年12月7日
- リハビリテーション学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇VRや2Dモニターを活用したリアルタイム臨床実習が、認知症へのイメージ変化に与える影響を調査。
◇オンライン実習は、作業療法施設での実習に向けた事前学習にも活用でき、学生の心理的負担の低減にも期待。
概要
認知症に対する「偏見」や「差別」(スティグマ)は、対象者のQOLや自尊心の低下、うつ病に繋がる可能性があるため、医学教育においてスティグマの低減は重要です。スティグマは、認知症の方と触れ合うことで低減することが知られていますが、COVID-19の流行で臨床実習が制限されたことにより、学生が認知症の方と触れ合う機会を十分に確保できていません。
大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科の上野 慶太大学院生(博士後期課程2年)、田中 寛之准教授らの研究グループは、リアルタイムでの通信が可能な新しいVRシステム「AVATOUR」を活用したオンライン臨床実習と、2Dモニターを用いたオンライン臨床実習が、学生の認知症に対するイメージの変化に与える影響を調査しました。その結果、いずれの実習方法であっても、学生の認知症に対するイメージはポジティブに変化することが分かりました。また、VRを用いた実習はよりリアルな臨床実習体験が提供できるため、作業療法施設での実習に向けた事前学習のツールとしての活用も期待できます。
図 VR・2Dモニターを活用したオンライン実習の様子
本研究成果は、国際学術誌「Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports」に、2023年12月3日に掲載されました。
COVID-19の流行により学生の臨床実習の機会が失われることに対し、バーチャルリアリティを使うことで臨床実習に近い体験を学生に提供したいと思い、本研究を実施しました。
今後は授業においてもオンライン実習を取り入れることで、学生の学習意欲を高め、臨床現場をより感じられる教育に繋げていきたいと思います。
上野 慶太大学院生
資金情報
本研究は、ダイキン工業株式会社の支援を受け実施しました。また、本研究で使用した「AVATOUR」は、大阪大学大学院 薬学研究科の仁木 一順助教より提供いただきました。
掲載誌情報
【発表雑誌】Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports
【論文名】Effects of real-time VR clinical practice on reducing the stigma toward dementia among students of occupational therapy: a randomized controlled trial
【著者】Keita Ueno, Hiroyuki Tanaka, Kazuyuki Niki, Masaya Ueda, Ayumi Tanaka, Katsushi Yokoi, Yasuo Naito, Ryouhei Ishii
【掲載URL】https://doi.org/10.1002/pcn5.160
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科
上野 慶太(うえの けいた)
TEL:072-950-2111
E-mail:keitaueno[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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