最新の研究成果
生成AIは学術情報収集の救世主となるのか? 医療分野での有用性を検証
2023年12月8日
- 医学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇膨大な時間を要する医療分野の文献検索における生成AIの有用性を、B型肝炎治療薬研究を例として検証。
◇今回検証した生成AIの一つでは、高精度かつ短時間で複数の信頼できる文献が提案された。
◇生成AIの性能レベルや特徴をよく理解した上での活用は有用であることを示唆。
概要
大阪公立大学大学院医学研究科の榎本 大病院教授らの研究グループは、医療分野における情報収集ツールとして生成AIに着目し、論文作成の際に膨大な時間を必要とする文献検索に活用できるかを検討しました。本研究では生成AIであるChatGPTとElicitに全く同じ臨床的な問いかけと文献の選定基準を入力しました。その結果、ChatGPTが提案した多くの文献は架空のものだったのに対し、Elicitでは、研究者が自ら選定する精度と同じ程度の複数の文献が数分で提案されました。本研究成果は、生成AIは医療情報収集の効率化に有用である可能性が高いことを示唆しています。一方で、生成AIの性能は未だ発展途上であるという意識をもち、必ずしも全て信用できる情報ではないこと、また必要とする情報の種類によって生成AIを使い分けることが必要であると考えられます。
本研究成果は2023年12月7日(木)、「Hepatology Communications」にオンライン掲載されました。
本研究は、過去に膨大な時間をかけて大量の文献を選定した経験に基づき生成AIの活用を発想したものです。本研究手法のような医療情報へのアクセスはまだ発展途上ですので、情報が正確でないことや最新情報でないことに気を付ける必要があります。しかし、ChatGPTをはじめ他の生成AIも日々進化しており、将来的には医療情報を効率的に収集するための強力なツールとして期待されます。
榎本 大病院教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Hepatology Communications
【論 文 名】Collaborating with AI in Literature Search – An Important Frontier
【著 者】Masaru Enomoto, Cheng-Hao Tseng, Yao-Chun Hsu, Le Thi Thanh Thuy, Mindie H Nguyen
【掲載URL】https://www.doi.org/10.1097/HC9.0000000000000336
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院 医学研究科
病院教授:榎本 大(えのもと まさる)
TEL:06-6645-3905
E-mail:enomoto-m[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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