最新の研究成果
コロナ禍の人流と生活習慣病関連医療費との関係を分析
2023年12月19日
- 生活科学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇コロナ禍においても徒歩人流が増えると、生活習慣病※1関連の医療費が減少していた。
◇東京・大阪都市圏(以下、都市圏)※2では、公共交通機関人流が増えると、生活習慣病関連の医療費が減少していた。
◇都市圏以外では、自動車に乗って移動する人流(以下、自動車人流)が増えると、生活習慣病関連の医療費が増加していた。
概要
大阪公立大学大学院生活科学研究科 居住環境学分野の加登 遼講師と瀧澤 重志教授の研究グループは、新型コロナウイルス感染流行期間(コロナ禍)である2020年4月から2021年9月を調査対象に、都市圏においてコロナ禍での交通行動別人流と生活習慣病関連医療費の関係性を分析しました。その結果、コロナ禍前の基準値(2020年1月13日)を100%とした場合、徒歩人流が70%を超えると、全ての都道府県において、生活習慣病関連医療費が減少していたことが明らかになりました。さらに、都市圏以外では、自動車人流が80%を超えると、生活習慣病関連医療費が増加していたことも分かりました。本研究結果は、交通行動別人流と生活習慣病関連医療費との関係性を示すものであり、コロナ禍での生活習慣病関連医療費を増加させないための交通行動別人流における目安を示しています。本研究は日本システム技術株式会社との連携協定の成果の一部です。
本研究成果は、2023年11月25日に、国際学術誌「Journal of Transport & Health」に掲載されました。
世界保健機関が、新型コロナウイルス感染症に関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言終了を発表した現在、新型コロナウイルス感染症流行時の感染症対策を検証する作業が進められています。特に、その検証作業においては、本学が強みとする「総合知」に基づく学際研究が求められます。本研究成果が、今後の感染症対策の基礎データの一部となることを期待します。
加登 遼講師
用語解説
※1 本研究が対象とした生活習慣病は、糖尿病、高血圧性疾患、代謝異常症、脂質異常症、脂肪肝、動脈硬化症、脳内出血、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞です。
※2 本研究における都市圏とする都道府県は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、京都府、兵庫県です。頻繁に緊急事態宣言が発令されていたことから選出しました。
掲載誌情報
【発表雑誌】Journal of Transport & Health, Issue 34, No. 101728
【論 文 名】Human Mobility and Medical Costs of Lifestyle-related Diseases during the COVID-19 Pandemic: A Cross-sectional Study in Japan
【著 者】Haruka Kato, and Atsushi Takizawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.jth.2023.101728
プレスリリース全文(667.3KB)
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院 生活科学研究科
講師:加登 遼(かとう はるか)
E-mail:haruka-kato[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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