最新の研究成果
痛みなどの症状はどこから? 外側円板状半月板の形態的特徴を明らかに
2023年12月25日
- 医学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇外側円板状半月板の有症状例と無症状例の形態的特徴を比較。
◇有症状例では脛骨幅に対する半月板占有率※1が高く、半月板最厚部高も有意に大きいことが明らかに。
◇手術適応の診断や、手術計画を立てることで診療の一助になることに期待。
概要
外側円板状半月板とは、本来半月状になっている膝外側の半月板が、丸く分厚い形状になっている先天的な形状異常(図)のことで、その多くは小児期から症状が現れるとされています。日本では、外側円板状半月板の発生頻度は数パーセントから十数パーセントとされており、痛みなどの症状がでなければ治療する必要はありません。一方で、外側円板状半月板は組織学的にも損傷しやすいとされており、膝痛、引っかかり感などの症状をきたす場合があります。
大阪公立大学大学院医学研究科 整形外科学の西野 壱哉病院講師、橋本 祐介特任教授らの研究グループは、外側円板状半月板において、症状がある症例(61膝)と無症状例(35膝)を比較し、形態的特徴を調べました。本研究では、脛骨幅に対する冠状(真正面から見た断層像)半月板占有率、矢状(真横から見た断層像)半月板占有率の計算と、半月板最薄部と最厚部の高さを計測しました。
その結果、症状がある症例群では冠状半月板占有率、矢状半月板占有率、逸脱※2、半月板最厚部高(半月板の厚みが最も分厚いところの高さ)が無症状群と比べて大きいことが明らかになりました。さらに、有症状円板状半月板は無症状半月板と比べ、半月板形態が水平方向に大きく、特に内部変性の傾向が強いことも分かりました。
本研究成果は2023年11月7日、「Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy」にオンライン掲載されました。
本研究によって、症状をきたす外側円板状半月板がどのように損傷して形状変化を起こしているのかが明らかになりました。我々が報告した画像上の特徴が、本疾患の診断、治療計画の一助となることを切に願います!
西野 壱哉病院講師
用語解説
※1 占有率:脛骨の幅における半月板の幅の占める割合を計算している。
※2 逸脱:半月板が脛骨の辺縁よりも外方に突出すること。逸脱をきたすと、半月板の持つ軟骨保護作用が失われ、変形性関節症のリスクとなる。
掲載誌情報
【発表雑誌】Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy
【論 文 名】Comparative analysis of discoid lateral meniscus size: a distinction between symptomatic and asymptomatic cases
【著 者】Kazuya Nishino, Yusuke Hashimoto, Takuya Kinoshita, Ken Iida, Shuko Tsumoto, Hiroaki Nakamura
【掲載URL】https://doi.org/10.1007/s00167-023-07650-2
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院 医学研究科
病院講師:西野 壱哉(にしの かずや)
TEL:06-6645-3851
E-mail:kazuya_best[at]hotmail.com
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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