最新の研究成果

頚椎症性脊髄症 手術後の患者満足度に影響する原因は「しびれ」にあり

2024年1月12日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇頚椎症性脊髄症手術において、運動症状が改善しているにもかかわらず、手足のしびれが強く残っている患者ほど治療満足度が低い。
◇「遺残するしびれ」に対する治療戦略の構築へ第一歩。

概要

加齢などにより頚椎部(首の骨)内にある脊髄の通り道が圧迫されることで生じる頚椎症性脊髄症は、手足のしびれを初期症状とし、進行すると握力低下や手を使った細かい作業が困難になります。次第に歩行障害や排尿障害等の運動症状が生じ、手術による治療が必要になります。頚椎症性脊髄症の手術は、運動症状の改善および悪化を防ぐことが目的ですが、初期症状からみられる手足のしびれは手術後も改善する可能性が低く、しびれが残る場合があります。

大阪公立大学大学院医学研究科 整形外科学の玉井 孝司病院講師らの研究グループは、頚椎症性脊髄症で手術を受けた患者187例の術後症状について調査したところ、86人の患者に「手足の強いしびれ(自己採点による100点満点中40点以上のしびれ)」が残っていることが判明しました。また、運動症状が改善しているかどうかは関係なく、手足のしびれが強く残っている人ほど「術後の治療満足度」が低いことが明らかになりました。

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しびれは視覚的・他覚的に検知ができず客観的な評価が困難であるため、しびれの訴えは治療において重要視されにくい傾向があります。本研究成果は「遺残するしびれ」に対する治療戦略をたてる第一歩となると考えられます。

本研究成果は2023年12月21日、国際学術誌「Spine」にオンライン掲載されました。


「しびれ」は多くの患者さんが抱える頚椎症性脊髄症の初発症状ですが、なかなか注目されることがありませんでした。その理由は、手術でも投薬でもしびれの治療が出来ないからだと思います。本研究で、どんなに他の症状が治っても、しびれが残れば患者さんの満足度が低下していることがわかりました。今後は、私たち脊椎外科も「しびれ」についてもっと真剣に考えなくてはなりません。

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玉井 孝司病院講師

 

掲載誌情報

【発表雑誌】Spine
【論 文 名】Residual paresthesia after surgery for degenerative cervical myelopathy: incidence and impact on clinical outcomes and satisfaction
【著  者】Koji Tamai, Hidetomi Terai, Masayoshi Iwamae, Minori Kato, Hiromitsu Toyoda, Akinobu Suzuki, Shinji Takahashi, Yuta Sawada, Yuki Okamura, Yuto Kobayashi, Hiroaki Nakamura
【掲載URL】https://doi.org/10.1097/brs.0000000000004907

プレスリリース全文 (469.2KB)

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 医学研究科
病院講師:玉井 孝司(たまい こうじ)
TEL:06-6645-3851
E-mail:koji.tamai.707[at]gmail.com

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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