最新の研究成果

~シダ類ゼンマイ科自然雑種の謎を追う~ ゼンマイ × シロヤマゼンマイの新雑種を発見

2024年1月22日

  • 理学研究科
  • プレスリリース

本研究のポイント

  • ゼンマイとシロヤマゼンマイの自然雑種を宮崎県で発見。
  • ゼンマイ科では自然雑種ができにくく、新雑種が見つかるのは極めて稀。
  • ゼンマイ科では自然雑種個体ができても、若くして絶滅していると推察。

概要

ゼンマイとシロヤマゼンマイとの自然新雑種。3枚の葉をつけた若い個体で一番小さな葉の大きさは約1 cm。ゼンマイとシロヤマゼンマイとの自然新雑種。3枚の葉をつけた若い個体で一番小さな葉の大きさは約1 cm。

シダ類は約1万種が知られており、雑種形成を繰り返して新しい種を生み出してきましたが、シダ類の代表とも言えるゼンマイ科では、これまでに報告されている自然雑種の数は多くありません。ゼンマイとシロヤマゼンマイはしばしば同じ場所に生育しているにも関わらず、それらの雑種は今まで見つかっていませんでした。
大阪公立大学大学院理学研究科の名波 哲教授、上嶋 智大大学院生、北海道大学大学院理学研究院の山田 敏弘教授らの研究グループは、ゼンマイとシロヤマゼンマイの自然雑種を宮崎県で発見しました。
本研究では、人工的にゼンマイとシロヤマゼンマイとを交雑し、その特徴を元にゼンマイとシロヤマゼンマイが同所的に発生している地域を調査しました。その結果、宮崎県で発芽後数ヶ月以内と思われる数個体の雑種を発見。しかし、それ以上に大きな個体は全く見つかりませんでした。本研究結果から、ゼンマイとシロヤマゼンマイは交雑して子個体を作れるものの、雑種個体は自然界で長く生きられない可能性が示されました。
植物分類学はドラマで取り上げられるなど高い注目を集めていますが、今回の発見は、シダ類における雑種形成の仕組みを解明する新たな知見となることが期待されます。
本研究成果は国際学術誌「Acta Phytotaxonomica et Geobotanica」に2023年10月31日にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント


ゼンマイ科の新雑種が野外で見つかったのは非常に驚きました。新種形成の仕組みを解明できれば新しい作物の作出にも繋がる可能性があります。
大阪公立大学附属植物園では絶滅をテーマにした研究を進めていますが、この発見は雑種の絶滅を理解する手掛かりにもなると期待しています。

山田先生山田 敏弘教授

掲載誌情報

雑誌名:

Acta Phytotaxonomica et Geobotanica

論文名:

Natural hybrids between Osmunda japonica and Plenasium banksiifolium (Osmundaceae) and implications for reproductive barriers

著者:

Tomohiro Ueshima、Naoko IshikawaKohei NakakitaRumiko KofujiChie TsutsumiSatoshi NanamiToshihiro Yamada

掲載URL

https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/74/3/74_202311/_article/-char/ja

研究内容に関する問合せ先

大阪公立大学大学院理学研究科
担当:名波 哲
TEL:072-891-2751
E-mail:snanami[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

北海道大学大学院理学研究院
担当:山田 敏弘
TEL:011-706-3424
E-mail:pbyamada[at]sci.hokudai.ac.jp [at]を@に変更してください

取材に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:上嶋 健太
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

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