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磁場誘起型有機円偏光発光ダイオードの円偏光発生メカニズムを解明 円偏光発光ダイオードの高性能化の設計指針を提示

2024年2月26日

  • 工学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇光学不活性※1な分子である白金錯体※2を用いて有機発光ダイオードを作製し、外部から磁力を加えることにより、赤色円偏光の発生に成功
◇発光層を起点として右回転と左回転の円偏光を同時に取り出すことに成功
◇円偏光の反射反転により円偏光の増幅が可能であることを解明

概要

近畿大学理工学部(大阪府東大阪市)応用化学科教授 今井喜胤(よしたね)、大阪公立大学大学院工学研究科(大阪府大阪市)教授 八木繁幸らの研究グループは、白金錯体を発光材料とする、磁場誘起型有機円偏光発光ダイオード※3を開発しました。

有機発光ダイオードに外部から磁力を加えることで、3D立体映像を映し出す際に使われる、らせん状に回転しながら振動する光「円偏光」を発生させることに成功しました。また、キラル(光学活性)な発光体を材料とする従来の有機円偏光発光ダイオードとは異なり、左右両回転の円偏光発光が発光層から同時にかつ逆方向に発生していることを明らかにしました。このメカニズムに基づいたデバイス設計によって、これまでの有機円偏光発光ダイオードの課題であった光の回転度の低下を抑えることが可能となります。

本研究成果を用いれば有機円偏光発光ダイオードの高性能化が可能であり、将来的に、新しいタイプの有機円偏光発光ダイオードの開発に繋がることが期待されます。

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磁場誘起型有機円偏光発光ダイオードの円偏光発光メカニズム

本件に関する論文が、令和6年(2024年)2月7日(水)に、材料化学分野の国際的な学術誌である“Journal of Materials Chemistry C”(ジャーナル オブ マテリアルズ ケミストリー C)にオンライン掲載されました。

掲載誌情報

【掲載誌】Journal of Materials Chemistry C(インパクトファクター:6.4@2022)
【論文名】Enhancement of circularly polarized electroluminescence via reflection reversal under a magnetic field(磁場下での反射反転による円偏光エレクトロルミネッセンスの増強)
【著者】鈴木聖香、山本優太、北原真穂、志倉瑠太、八木繁幸、今井喜胤* *責任著者
【掲載URL】https://doi.org/10.1039/D4TC00048J

資金情報

本研究は、科学研究費補助金 基盤研究(B)(課題番号 JP23H02040)、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST研究領域「独創的原理に基づく革新的光科学技術の創成」(研究総括:河田聡)研究課題「円偏光発光材料の開発に向けた革新的基盤技術の創成」(研究代表者:赤木和夫)、JST A-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)、研究課題「磁場駆動MCP-OLEDおよびMCP-LECデバイスの開発」によって実施されました。

用語解説

※1 光学活性/光学不活性…物質が直線偏光の偏光面を回転させる性質(旋光性)があるとき、この物質は光学活性であるといい、偏光面を回転させる性質がないとき、この物質は光学不活性という。

※2 白金錯体…白金は白金族に分類される原子番号78の遷移元素であり、プラチナともよばれ、装飾品に多く利用されている。この白金と有機化合物が結合したものが白金錯体である。白金錯体は、抗がん剤として広く知られるほか、近年では有機発光ダイオード用発光材料としても注目されている。

※3 有機円偏光発光ダイオード…電圧をかけると有機物が発光する現象を有機EL(Electroluminescence)といい、この現象を利用したデバイスを有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode)という。この際、発光が円偏光であるデバイス有機円偏光発光ダイオードという。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学 工学研究科
教授 八木 繁幸(やぎ しげゆき)
TEL:072-254-9320
E-mailyagi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL06-6605-3411
E-mailkoho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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