最新の研究成果

皮膚科医でも間違いやすい二つの皮膚科疾患を見極める新たな指標を開発

2024年3月18日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇悪化すると呼吸不全、循環不全や腎不全を併発する汎発性膿疱性乾癬と、見た目の症状が非常に似ている急性汎発性発疹性膿疱症を鑑別する診断指標を開発。

◇米国の大手総合病院であるメイヨークリニックとの共同研究で、症例数が少ない二つの疾患を見分けるためのスコアリングシステムの開発に成功。

◇素早い診断と適切な治療選択へ繋がることが期待。

概要

全身の皮膚が赤くなり、膿の塊が皮膚の中にできる汎発性膿疱性乾癬(GPP)は、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)と皮膚症状がよく似ており、この二つの疾患の見極めは非常に難しいとされています。適切な治療が行われなければ、重症化し合併症などを引き起こす場合もあります。この二つの疾患は経過や治療法は異なるため、効果的な治療を行う上で、二つの疾患を区別することは重要です。

大阪公立大学大学院医学研究科 皮膚病態学の鶴田 大輔教授、高市 美佳前期研究医と米国の大手総合病院であるメイヨークリニック(Mayo Clinic)のAlavi教授ら研究グループは、2004年ごろからの約20年間に、大阪公立大学医学部附属病院あるいはメイヨークリニックを受診したGPP患者54例とAGEP患者63例を対象とし、臨床症状・検査所見などのデータを集め、二つの疾患を見分けるためのスコアリングシステムを開発しました。

本研究成果は、これまで臨床現場で医師が鑑別に悩んでいたGPPとAGEPを見分ける際の一助となる可能性があり、素早い診断と適切な治療選択へと繋がることが期待されます。


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皮膚症状例(左)GPP (右)AGEP

本研究成果は、2024年3月14日、米国の医学雑誌「Journal of the American Academy of Dermatology」にオンライン掲載されました。



膿疱性乾癬(GPP)と急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)は症状がとてもよく似ており、臨床現場で診断が難しいと感じることが多いです。いずれも珍しい疾患ですが、私の留学先であるMayo Clinicと共同研究を行うことで、より多くのデータを集めることが可能となり、この二疾患を見分ける診断基準を開発しました。

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高市 美佳前期研究医

掲載誌情報

【発表雑誌】Journal of the American Academy of Dermatology
【論文名】Differentiating Generalized Pustular Psoriasis from Acute Generalized Exanthematous Pustulosis
【著者】Mika Yamanaka-Takaichi, Miki Watanabe, Nneka I. Comfere, Olayemi Sokumbi, Christeebella O. Akpala, Austin Todd, Emily L. Branch, Aaron R. Mangold, Sho Hiroyasu, Daisuke Tsuruta and Afsaneh Alavi
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.jaad.2024.01.080

プレスリリース全文(489KB)

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 医学研究科
前期研究医:高市 美佳(たかいち みか)
TEL:06-6645-3826
E-mail:v21435l@omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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