最新の研究成果

柿に含まれるポリフェノールが酸化ストレスを軽減! 酵母の生育を改善することを明らかに

2024年4月11日

  • 理学研究科
  • プレスリリース

本研究のポイント

  • 柿渋から抽出されたポリフェノール「カキタンニン」に注目。
  • 発酵生産物の収率アップに期待。

概要

酵母は発酵によってエタノールが生産され、バイオエタノール生産やアルコール飲料発酵などさまざまな産業で利用されています。その一方で、酵母は発酵過程中、自身が作ったエタノールなどの環境ストレスに晒され生育促進が妨げられます。これまで生育促進に有効な物質の付与などさまざまな研究が行われてきましたが、有効な物質はあまり発見されていません。
大阪公立大学大学院理学研究科 分子微生物学のイルハムザー大学院生(博士前期課程2年)、藤田 憲一教授、研究推進機構 都市健康・スポーツ研究センターの荻田 亮教授らの研究グループは、抗酸化作用で知られる柿渋から抽出されたカキタンニンがエタノール存在下における酵母の生育を改善することを明らかにしました。
本研究では、エタノールを含む培地に、カキタンニンを加えて酵母を培養したところ、カキタンニンを添加しない場合に比べて、細胞数が8.9倍増加することを明らかにしました。さらに、カキタンニンは、活性酸素種の生成や脂質過酸化の促進など、エタノール誘発性の酸化ストレスを軽減しました。しかし、カキタンニンはエタノールによる細胞膜損傷をほとんど改善できませんでした。これは、カキタンニンが細胞膜損傷ではなく酸化損傷を制限することにより、エタノールストレスに対する酵母の耐性を高める保護剤としてのカキタンニンの可能性を示しています。
本研究成果は、2024年3月6日に、国際学術誌「Journal of the Science of Food and Agriculture」にオンライン掲載されました。

カキタンニンは超高分子で低分子カテキン類を全く含んでいませんでした。そのため、酵母とカキタンニンの分離が難しく、作用機構解析は困難を極めました。カキタンニンが親水性超高分子であることを考慮して、今後、酵母自身がストレスを克服するしくみについても調べていきます。

イルハムザー大学院生(右下)
藤田 憲一教授(右上)
荻田 亮教授(左)

 

■掲載誌情報

雑誌名:

The Journal of the Science of Food and Agriculture

論文名:

Persimmon tannin promotes the growth of Saccharomyces cerevisiae under ethanol stress

著者:

Ilhamzah,Yuka Tsukuda,Yoshihiro Yamaguchi,Akira Ogita,Ken-ichi Fujita

掲載URL

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jsfa.13439

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学 理学研究科
担当: 藤田 憲一
TEL:06-6605-2580
E-mail:fujita[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター
担当:荻田 亮
TEL: 06-6605-2954
E-mail:ogita[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:上嶋 健太
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

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