最新の研究成果
素粒子の3世代構造が自然に統一される6次元ゲージ・ヒッグス大統一理論を発見
2024年6月12日
- 理学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇素粒子の3世代が統一された6次元ゲージ・ヒッグス大統一理論※1から、5次元ゲージ・ヒッグス大統一理論を導く理論を探索◇SU(14)※2対称性により、物質粒子の3世代構造が自然に実現されることを発見
概要
物質のもっとも小さい構成要素である素粒子と、その相互作用についての研究は、素粒子論と呼ばれ、宇宙の起源を解き明かそうと多くの研究が行われています。これまでに、17種類の素粒子が発見され、「標準模型」※3が完成しています。現在は、強い力、電磁気力、弱い力の3つの相互作用(ゲージ粒子)を1つにまとめて考える「大統一理論」※4の研究や、5次元以上の空間においてヒッグス粒子※5を統一的に記述する「ゲージ・ヒッグス大統一理論」の研究も進められています。また、標準模型において、物質をつくる素粒子が質量の違いにより3世代構造になるメカニズムについても探求されています。
大阪公立大学大学院理学研究科 名古 竜二朗大学院生(博士前期課程2年)、丸 信人教授らの研究グループは、6次元のゲージ・ヒッグス大統一理論から、5次元のゲージ・ヒッグス大統一理論を導く理論を探索し、SU(14)という非常に大きな対称性を持つ理論から、3世代構造が自然に実現されることを発見しました。3つの相互作用、3世代の物質粒子およびヒッグス粒子を統一的に記述する6次元ゲージ・ヒッグス大統一理論は、世界で唯一の極めて独創的な理論です。物質粒子の世代構造の起源について、さらに理解が深まることが期待されます。
本成果は、2024年6月7日に「Physical Review D」にオンライン掲載されました。
標準模型
以前から取り組みたかった課題「世代の統一」について研究でき、第一歩となる成果を出せたことに満足しています。共同研究者の大学院生が主要な結果を発見したことは、何よりも素晴らしいです。今後は、実験データを説明・予言できる、さらに現実的な理論の構築を目指します。
丸 信人教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Physical Review D
【論文名】Attempt at constructing a model of grand gauge-Higgs unification with family unification
【著者】Nobuhito Maru and Ryujiro Nago
【掲載URL】https://doi.org/10.1103/PhysRevD.109.115005
用語解説
※1 ゲージ・ヒッグス大統一理論:大統一理論にヒッグス粒子も含め、統一的に記述する高次元理論。
※2 SU(14):14次元特殊ユニタリー群。14次元複素ベクトルの長さを変えない対称性。
※3 標準模型:素粒子(クォーク・レプトン)と3つの相互作用(強い力、電磁気力、弱い力)を記述する理論。
※4 大統一理論:強い力、電磁気力、弱い力の3つの相互作用を1つの相互作用として、クォーク・レプトンをより少ない素粒子として統一的に記述する理論。
※5ヒッグス粒子:標準模型で用いられるヒッグス機構において、質量の起源として作用する粒子。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院理学研究科
教授 丸 信人(まる のぶひと)
TEL:06-6605-2539
E-mail:nmaru[at]omu.ac.jp
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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