最新の研究成果
~一生ものの人工関節のために~ 2種類の人工股関節を術後の骨密度変化などで比較
2024年6月13日
- 医学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇人工股関節全置換術で使用される、ハイドロキシアパタイト(HA)※1コーティングが施されている2種類の大腿骨側人工関節(ステム)を比較。
◇手術3週間後、1年後、2年後において、ステム周辺の骨密度を調査。
◇ステムと大腿骨の接触状態を、3D密度マッピングシステムを用いて測定。
概要
大腿骨と骨盤をつなぐ関節である股関節は、体重を支えたり歩いたりするのに重要な役割を果たしています。加齢や病気などにより股関節が痛んだ場合、人工股関節全置換術が行われます。しかし、術後に大腿骨周囲の骨密度が低下すると、骨折や人工関節の固定がゆるむリスクが高まり、再手術が必要になる場合があります。そのため、術後の骨密度変化の傾向や、人工股関節の形状や素材の違いから発生する特徴などを把握しておく必要があります。
大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学の大山 洋平大学院生(博士後期課程4年)らの研究グループは、従来型ステムを使用した36例と、形状の異なる新規ステムを使用した30例の、手術3週間後、1年後、2年後のステム周りの骨密度を調査しました。また、ステムと大腿骨の接触状態を、3D密度マッピングシステムを用いて測定しました。その結果、大腿骨近位内側の骨密度は従来型ステムの方が新規ステムより高いこと、ステム遠位部において新規ステムは従来型ステムより皮質骨※2との接触面積が大きいことが判明しました。本結果は、人工股関節全置換術の技術向上に役立つと期待されます。
本成果は、2024年6月1日、「The Bone & Joint Journal」にオンライン掲載されました。
人工股関節全置換術は、患者さんの健康寿命を伸ばし、生活の質を向上させる手術です。人工関節医は、患者さんの体内に入れる人工関節が生涯保つように、日々研究を続けています。この研究が人工関節を「一生もの」にするための治療戦略の一助になれば幸いです。
大山 洋平大学院生
掲載誌情報
【発表雑誌】The Bone & Joint Journal
【論文名】Contact states with femoral cortical bone and periprosthetic bone mineral density changes differ between traditional and newly introduced fully hydroxyapatite-coated stems
【著者】Yohei Ohyama, Yukihide Minoda, Sho Masuda, Ryo Sugama, Yoichi Ohta, Hiroaki Nakamura
【掲載URL】https://doi.org/10.1302/0301-620X.106B6.BJJ-2023-1157.R2
用語解説
※1 ハイドロキシアパタイト:骨の主成分。
※2 皮質骨:骨の外側の部分で非常に硬い組織。
研究内容に関する問い合わせ先
医学研究科整形外科学
大山 洋平(おおやま ようへい)
TEL:06-6645-3851
E-mail:i21174y[at]omu.ac.jp
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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