最新の研究成果
トラザメの最適なCT撮影条件を検証 造影剤の持続期間・排泄機構を明らかに
2024年6月19日
- 獣医学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇サメやエイなど、CT画像のコントラストが得にくい海洋生物での、最適な撮影条件を調査。
◇投与した造影剤の体内持続期間やピーク値までの日数、対外への排泄機構が明らかに。
◇海洋生物における画像検査のさらなる発展に期待。
概要
CT検査は、ヒトだけでなく、サメやエイなど一部の海洋生物における病気の精密検査に活用されています。
大阪公立大学大学院獣医学研究科の古家 優准教授らと、海遊館の伊東 隆臣獣医師らの共同研究グループは、トラザメのCT撮影における最適条件を調べるため、投与した造影剤の体内持続期間や排泄機構について、マイクロCT検査装置※を用いて経時的に検証。心室腔と腎臓の画像コントラストの濃淡値は、投与後30分でピークとなるのに対し、肝臓では200日目にピークとなることが分かりました。また、造影剤はトラザメの体内で非常に長期間蓄積され、胆汁、卵胞、子宮を経由して体外に排泄されることが示唆されました。本成果は、造影剤の持続効果に新たな知見を与えるととともに、海洋生物における画像検査の加速に繋がると期待されます。
本研究成果は、2024年4月20日に国際学術誌「Journal of Aquatic Animal Health」のオンライン速報版に掲載されました。
図1 海遊館で飼育しているトラザメ
海洋生物において、病気の診断のためにさまざまな検査が実施されるようになりました。今回、血管造影剤を用いたCT検査によって、臓器の描出に最適な条件と、長期的な臓器の造影効果について明らかにすることができました。今後、海洋生物における画像診断がさらに発展すると期待できます。
古家 優准教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Journal of Aquatic Animal Health
【論文名】Long-term effects of iopamidol as a contrast medium for computed tomography in Cloudy Catsharks Scyliorhinus torazame
【著者】Takaomi Ito, Masaru Furuya*, Toshiyuki Tanaka, Yusuke Yoshii, Mikito Murata, Kazumi Sasai(*責任著者)
【掲載URL】https://doi.org/10.1002/aah.10219
資金情報
本研究は、「府大・高専基金」(つばさ基金)の援助を受けて実施しました。
用語解説
※ マイクロCT検査装置…ヒトなどで一般的に用いられるCT検査装置よりも、更に薄い数十マイクロメートルのスライス幅で撮影ができるため、精細な検査画像が得られる。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院獣医学研究科
准教授 古家 優(ふるや まさる)
TEL:072-463-5392
E-mail:furuya[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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