最新の研究成果
JST創発的研究支援事業に4件の新規研究課題が採択
2024年6月28日
- 工学研究科
- 研究
2023年度 科学技術振興会 (JST) 創発的研究支援事業の新規研究課題に、工学研究科の安藤 裕一郎教授、岡田 健司准教授、尾島 由紘准教授と、元根 啓佑客員研究員(大阪大学 大学院工学研究科 助教)をそれぞれ研究代表とする4つの研究課題が採択されました。
創発的研究支援事業は、特定の課題や短期目標を設定せず、多様性と融合によって破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指す「創発的研究」を推進するため、既存の枠組み にとらわれない自由で挑戦的・融合的な多様な研究を、研究者が研究に専念できる環境 を確保しつつ長期的に支援します。
また、創発を促進するため、支援期間中は異分野を含む多様な研究者同士が相互に触発し、切磋琢磨する「創発の場」を設けることで、破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指すものです。
研究課題名:14族半導体を用いたスピン論理演算の創成
研究課題のポイント
- 電子スピンで駆動する14族半導体ベース・スピン論理演算素子の実現に挑戦
- スピンの流れであるスピン流を用いて超省電力駆動を目指す
工学研究科 電子物理系専攻 安藤 裕一郎教授
近年、情報機器の消費電力は爆発的に増大しております。本プロジェクトではこの問題を解決するため、情報の担い手を電子スピンにした超省電力スピン論理演算デバイスを創製し、非ノイマン型コンピューティングの実現を目指します。
研究課題名:分子/格子整合有機-無機界面が織りなす革新的材料
研究課題のポイント
- 身の回りには有機物質と無機物質のハイブリッド材料は多くあるが、その「界面」に関しては十分に設計・制御できているわけではない
- 有機物質と無機物質の間で、原子位置が整合した「界面」を生み出し、新規材料の創製を目指す
- 有機物質と無機物質の「界面」を基盤とした新しい研究領域を展開する
工学研究科 物質化学生命系専攻 岡田 健司准教授
身の回りの製品は多岐にわたる材料の組み合わせでできており、その材料間の「界面」が存在しています。有機材料や無機材料においては、物質間での界面の精密設計・制御が大きなイノベーションを創出してきたと言っても過言ではありません。一方で、有機物質と無機物質のハイブリッド材料においては、幅広い分野で利用されているにもかかわらず、その「界面」に関しては十分に設計・制御できているわけではありません。この創発研究では、有機物質と無機物質の間で、原子位置が整合した「界面」を生み出し、新規材料の創製を目指します。
最長10年間の研究期間で、じっくりと世界レベルで独創性の高い研究を行いたいと思います!
研究課題名:微生物が産生する細胞外ナノ粒子の理解と応用
研究課題のポイント
- 電子顕微鏡観察技術を主軸においた細菌の膜小胞形成機構の解明
- 膜小胞現象に基づいたプロバイオティクスや複合微生物系の構築ツールの創出
工学研究科 物質化学生命系専攻 尾島 由紘准教授
細菌が生産する細胞外ナノ粒子である膜小胞に着目し、生産機構も含めた基本的性質を明らかにすると同時に、バイオテクノロジーツールとしての有用性の実証に取り組みます。学術的にも興味深い膜小胞現象に着目し、バイオプロセスを新たな切り口から見直すことで、合成生物学を基盤とした微生物セルファクトリーの概念にパラダイムシフトをもたらす「微生物ナノファクトリー」の構築に挑戦します。
研究課題名:ナノポアセンサーを基盤とする大規模並列1分子相互作用計測
研究課題のポイント
- 次世代分子間相互作用計測プラットフォームの確立に挑戦する
- ナノポアを用いて大規模並列的に1分子間相互作用を計測する
- 次世代シーケンサーの登場に匹敵するような技術革新を相互作用計測にもたらす
元根 啓佑客員研究員(大阪大学 大学院工学研究科 助教)
タンパク質が生体分子と織り成す相互作用を理解することは、生命機能の基本原理の解明や、それに基づく薬剤やバイオテクノロジーの開発に繋がります。しかし、従来の相互作用計測は感度や並列性に欠け、相互作用の全貌はブラックボックスのままです。本研究課題では、ナノポアセンシングと呼ばれる手法を利用して1分子間相互作用を大規模並列的に計測する方法論を確立し、タンパク質の相互作用計測の革新に挑戦します。
関連情報
2023年度新規採択課題および評価者について(JST Webサイト)
問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください
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