最新の研究成果
光反応性分子結晶における光反応の進み方と結晶構造の関係を明らかに
2024年7月26日
- 工学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇光反応性分子の結晶構造の違いにより、光反応の進み方が異なることが明らかに。
◇結晶内で不均一な光反応が起こるメカニズムを解明。
◇結晶内における光反応の制御に向けて、新たな知見を提供。
概要
光を当てると物性が変化する光反応性分子は次世代機能材料として注目されており、さらなる応用には、光反応が結晶内でどのように進むのかを解明する必要があります。
大阪公立大学大学院工学研究科の片岡 壮吾大学院生(博士前期課程2年)、北川 大地講師、小畠 誠也教授らの研究グループは、光反応性分子の一つで、結晶構造の異なるアントラセン誘導体※4種類を用いて、結晶全体に光を照射した際の光反応の進行過程を比較しました。その結果、結晶全体で均一に光反応が進むパターンと、結晶の端から中心に向かって不均一に光反応が進むパターンの、2通りの反応が起こることが分かりました(図1)。また、不均一に光反応が進むパターンでは、光反応が起こる過程で分子が大きく回転する必要があるため、十分な回転スペースを確保できる結晶の端から順に反応が進むことを突き止めました。
本研究成果は、2024年7月26日(金)に、英国王立化学会の国際学術誌「Chemical Science」のオンライン速報版に掲載されました。
光反応進行過程の違いの要因が、反応に伴う大きな構造変化であることを解明しました。本研究で得られた結果は、不均一な反応を示す次世代機能材料を創り出す指針になると考えています。
今後は、分子結晶における光反応を三次元シミュレートするプログラムの構築に取り組み、より詳細な解明を行いたいと思っています。
片岡 壮吾大学院生
掲載誌情報
【発表雑誌】Chemical Science
【論文名】Relationship between spatially heterogeneous reaction dynamics and photochemical kinetics in single crystals of anthracene derivatives
【著者】Sogo Kataoka, Daichi Kitagawa, Hikaru Sotome, Syoji Ito, Hiroshi Miyasaka, Christopher J. Bardeen, Seiya Kobatake
【掲載URL】https://doi.org/10.1039/D4SC03060E
資金情報
本研究の一部は、JSPS科研費(JP 21K14603、JP 23H01926、JP 21H01888、JP 21H05395、JP 21KK0092、JP 21H01889、JP 21K18934、JP 21H02016)の助成を受けたものです。
用語解説
※ アントラセン誘導体…アントラセン環に官能基が付いている分子の総称。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院工学研究科
講師 北川 大地(きたがわ だいち)
教授 小畠 誠也(こばたけ せいや)
TEL:06-6605-2798
E-mail:kitagawa[at]omu.ac.jp
kobatake[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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