最新の研究成果

― 持続可能な医療AI実現のために ― 環境に配慮したシステムの開発・運用に向けて提言

2024年7月22日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

概要

人工知能(AI)の急速な進歩により、医療分野では診断の精度や効率が向上しつつあります。しかし、AIシステムの開発には多くの資源やエネルギーが必要です。また、運用においても、データセンターからの温室効果ガスの排出や、新しい機器の導入に伴う鉛や水銀などの有害物質を含む電子廃棄物の発生など、自然環境への影響が懸念されています。

大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学の植田 大樹准教授、日本医学放射線学会委員らの研究グループは、医療分野におけるAIシステムが環境に与える影響について調査し、環境問題を軽減するための具体的な方法として、エネルギー効率の高いAIモデルの開発や、グリーンコンピューティングの導入、再生可能エネルギーの活用などについて論じました。さらに、それらを包括し、医療分野におけるAIの持続可能な展開のための方策も提言。本総説は、医療機関やAI開発者が環境に配慮しながらAIシステムを開発・運用する上で重要な指針となります。

本総説は、2024年6月24日に、国際学術誌「Diagnostic and Interventional Imaging」にオンライン掲載されました。

AIは医療の質を向上させる可能性を秘めていますが、同時に環境への負荷も無視できません。私たちが提言したベストプラクティスは、この二つの要素のバランスを取るための第一歩です。今後、医療機関やAI開発者が環境に配慮したAIの開発・導入を進めていくことを期待しています。持続可能な医療AIの実現のため研究と実践を重ねていく所存です。

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植田 大樹准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Diagnostic and Interventional Imaging
【論 文 名】Climate change and artificial intelligence in healthcare: 
Review and recommendations towards a sustainable future
【著  者】Daiju Ueda, Shannon L Walston, Shohei Fujita, Yasutaka Fushimi, Takahiro Tsuboyama, Koji Kamagata, Akira Yamada, Masahiro Yanagawa, Rintaro Ito, Noriyuki Fujima, Mariko Kawamura, Takeshi Nakaura, Yusuke Matsui, Fuminari Tatsugami, Tomoyuki Fujioka, Taiki Nozaki, Kenji Hirata, Shinji Naganawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.diii.2024.06.002

用語解説

※ グリーンコンピューティング:環境に配慮したコンピューター利用や情報システムの設計、運用を目指す取り組み。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科
准教授 植田 大樹(うえだ だいじゅ)
TEL:06-6645-3831
E-mail:ai.labo.ocu[at]gmail.com
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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