最新の研究成果

小さなトマト「マイクロトム」の変化の軌跡 ~遺伝子型の比較と高精度全ゲノム解読から品種改良へ~

2024年7月19日

  • 農学研究科
  • プレスリリース

かずさDNA研究所 先端研究開発部 植物ゲノム・遺伝学研究室の白澤 健太室長、九州大学大学院 農学研究院の平川 英樹教授(当時 かずさDNA研究所 ゲノム事業推進部 植物DNA解析グループ)、筑波大学 生命環境系の江面 浩教授、大阪公立大学大学院農学研究科の青木 考教授、国際農林水産業研究センター 生物資源・利用領域の星川 健主任研究員らは共同で、小さなトマト「マイクロトム」の全ゲノムを高精度に解読しました。

マイクロトムは、アメリカで観賞用として開発されたトマトで、非常に小さく、種を播いてから34ヵ月で次の世代の種子を取ることができることから、研究用のモデル品種として使われています。

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これまでの研究から、マイクロトムには遺伝的に異なるいくつかの系統があることが分かっていましたが、世界に広がった経路や、表現型や遺伝子型の違いについての研究報告はありませんでした。そこでまず、アメリカ、フランス、ブラジルと日本の3つの研究機関から6系統のマイクロトム【写真】を集めて、かずさDNA研究所が維持してきたマイクロトムの全ゲノムを解読するとともに、6系統の遺伝的な違いや、植物体の形や果実の大きさなどの違いを明らかにしました。【論文(1)】。

さらに、筑波大学が維持してきたマイクロトムの全ゲノムを新たに解読しました。特に、このゲノム解析には、最新のDNA分析技術を利用したため、従来の技術では読み取ることが難しかったゲノム領域の塩基配列を、ほぼ完全に読み取ることができました【論文(2)】。

今回明らかになった高精度なゲノム情報を利用することで、トマトをはじめとする野菜類の新たな品種の育成や遺伝学の研究がより速く進むことが期待されます。筑波大学などが開発し、世界初のゲノム編集食品として販売されている高GABA含有トマト「シシリアンルージュ・ハイギャバ」も、マイクロトムの研究成果から生み出されたトマトです。

研究成果は国際学術雑誌 DNA ResearchPlant Biotechnologyで、それぞれ64日(火)と719日(金)にオンライン公開されました。

掲載誌情報①

【発表雑誌】DNA Research
【論文名】Genomic variation across distribution of Micro-Tom, a model cultivar of tomato (Solanum lycopersicum)
【著者】Hideki Nagasaki, Kenta Shirasawa, Ken Hoshikawa, Sachiko Isobe, Hiroshi Ezura, Koh Aoki, Hideki Hirakawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1093/dnares/dsae016

掲載誌情報②

【発表雑誌】Plant Biotechnology
【論文名】Near-complete genome assembly of tomato (Solanum lycopersicum) cultivar Micro-Tom
【著者】Kenta Shirasawa, Tohru Ariizumi
【掲載URL】https://doi.org/10.5511/plantbiotechnology.24.0522a

資金情報

本研究は、(公財)かずさDNA研究所、イノベーション創出強化研究推進事業JPJ007097JSPS科研費(22H02321、22H0517222H05181) の研究助成を受けたものです。

研究に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院農学研究科
教授 青木 考(あおき こう)
TEL072-252-6384
E-mailkaoki[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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