最新の研究成果

真皮線維芽細胞におけるMMP2の過剰発現がメラノサイトの消失に関与

2024年8月7日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇脱色素斑の皮膚の基底膜1では、形態異常および構造異常が起きていることが判明。

◇真皮線維芽細胞2におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)3の過剰発現が基底膜を破壊し、メラノサイト(色素細胞)4の消失を引き起こすことが判明。

概要

大阪公立大学大学院医学研究科色素異常症治療開発共同研究部門の片山 一朗特任教授、楊 伶俐特任准教授らの研究グループは、尋常性白斑の皮膚において、基底膜の構造および構成分子の変化を分析した結果、基底膜に形態異常および構造異常が起きていることを確認しました。また、コラーゲンなどを作り出す真皮線維芽細胞におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)という酵素の過剰発現が、基底膜を破壊しメラノサイトの消失を引き起こしていること、さらに、白斑におけるメラノサイトの消失は、基底膜を構成するラミニン5や4型コラーゲン6とメラノサイトとの結合が弱くなることが主に関与していることを解明しました。

本研究成果は、2024年7月11日に国際学術誌「The Journal of Pathology」にオンライン掲載されました。

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今回の研究を通じて、尋常性白斑の原因の一端を明らかにすることができ、新しい治療法を見つけるための重要な手がかりを得ることができました。多くの患者さんに希望を届けることができるよう、今後も研究を続けていきます。

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楊 伶俐特任准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】 The Journal of Pathology
【論 文 名】 Disorganisation of basement membrane zone architecture impairs melanocyte residence in vitiligo
【著   者】 Fei Yang, Lingli Yang, Yasutaka Kuroda, Sylvia Lai, Yoshito Takahashi, Tetsuya Sayo, Takeshi Namiki, Kimiko Nakajima, Shigetoshi Sano, Shintaro Inoue, Daisuke Tsuruta, Ichiro Katayama
【掲載URL】 https://doi.org/10.1002/path.6321

用語解説

※1 基底膜:表皮と真皮をつなぐ薄い膜のような構造。皮膚の構造と機能を保つ役割がある。

※2 真皮線維芽細胞:真皮層に存在する細胞。コラーゲンやエラスチンなどの皮膚の構造タンパク質を生成する役割がある。

※3 マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2):細胞の周りの構造を分解する酵素。皮膚の基底膜を分解する働きがある。

※4 メラノサイト(色素細胞):皮膚に色素を供給する細胞。これが減少すると、皮膚に白い斑点ができる。

※5 ラミニン:基底膜に存在する重要なタンパク質。細胞の構造を支え、安定させる役割がある。

※6 4型コラーゲン:基底膜の主要な構成要素の一つ。構造的な支持を提供する役割がある。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科
特任准教授 楊 伶俐(よう れいり)
TEL:06-6556-7618
E-mail:yang.lingli[at]omu.ac.jp 

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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