最新の研究成果

噛む回数が多すぎても少なすぎてもげっぷ障害に影響

2024年8月7日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇日本でのげっぷ障害の割合と疾患や生活習慣との関連を、1万人へのWeb調査から検証。
◇日本でも成人の約1.5%がげっぷ障害を抱えていることが明らかに。
◇げっぷ障害の発症には、消化器疾患の有無や満腹まで食べること、咀嚼回数が大きく関連。

概要

げっぷは生理現象の一つですが、日常生活に支障が出るレベルのげっぷは、生活の質(QOL)を妨げることから、「げっぷ障害」として機能性消化管疾患にも定められています。グローバルな調査では、成人の約1%がげっぷ障害を抱えていると報告されていますが、日本における割合や発症に関与する因子は不明でした。

大阪公立大学大学院医学研究科消化器内科学の藤原 靖弘教授、小林 由美恵病院講師、沢田 明也病院講師らの研究グループは、日本でのげっぷ障害の割合と疾患や生活習慣との関連などを検証するため、一般成人10,000人を対象にWeb調査を実施。その結果、151人(1.5%)がげっぷ障害であることが分かりました。また、消化器疾患の有無(胃食道逆流症1、機能性ディスペプシア2、甲状腺疾患)や、満腹まで食べること、咀嚼回数が極端に少ないまたは多いことが、げっぷ障害の発症に大きく関連し、炭酸飲料水の摂取頻度は関連がないことも明らかになりました。げっぷ障害は治療が難しく、治療を受けられる医療機関も限られています。今後は、咀嚼回数や食生活習慣の改善による効果を検証し、げっぷ障害の新たな治療法の開発へ繋がることが期待されます。

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本研究成果は、2024年7月16日(火)に国際学術誌「The American Journal of Gastroenterology」のオンライン速報版に掲載されました。

げっぷの研究は地味で、医学者にとって魅力的ではないテーマです。しかし、臨床の現場では治療に難渋する症例を多く経験します。今回の研究では、いくつかの重要な知見が得られたと思います。「えっ!?」と思う内容ですが、この分野での一流紙に受理されたことも大変嬉しく思います。

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(左より)藤原教授、小林病院講師、沢田病院講師

掲載誌情報

【発表雑誌】The American Journal of Gastroenterology
【論文名】Prevalence of Belching Disorders and Their Characteristics in the General Adult Population
【著者】Yasuhiro Fujiwara*, Akinari Sawada*, Yumie Kobayashi*, Shuhei Hosomi, Koji Otani, Shusei Fukunaga, Masaki Ominami, Koichi Taira, Fumio Tanaka *共同筆頭著者
【掲載URL】https://doi.org/10.14309/ajg.0000000000002960

資金情報

本研究の一部は、JSPS科研費(JP21K07948)の助成を受けたものです。

用語解説

※1 胃食道逆流症…胃酸が食道に逆流することにより胸やけを訴え、胃カメラで食道に傷(逆流性食道炎)が観察される病気。時に出血を起こしたり、食道が狭くなったりする。

※2 機能性ディスペプシア…機能性消化管疾患の一つ。胃カメラでは潰瘍(かいよう)など病変を認めないにもかかわらず、胃痛、食後のおなかの張り、すぐにおなかがいっぱいになり食べられないなどの症状を訴える。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科
教授 藤原 靖弘(ふじわら やすひろ)
TEL:06-6645-3810
E-mail:fujiwara[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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